笑っている君のとなりに僕はいたい。

テト/ノア

第0話 屋上へノボル。

僕は神様なんて信じない。


だってそうでしょ?


君が....君だけがくれたんだ


この気持ちを


今ここに君がいたら僕になんて言うかな?


いつもみたいに笑っているかな


それとも一緒に泣いてくれるかな


僕は忘れないよ


君と過ごした1年を。



____________________________________________________________





今日で高校2年生になった。

特に変わることもない灰色の日常を今日も過ごしている。

なんの目標があるわけでもなく、

ただ毎日同じことの繰り返しをしている人生だ。


朝起きて学校へ行き、帰宅して寝る。

このサイクルだ

趣味は無い。強いて言うなら何も考えずに空を見上げることだ


放課後になり、僕はいつも通り帰宅する準備をする。

イヤホンを耳につけほこり臭い教室を出る。


特に予定もないのだが、部活もせずに家に帰るという日常を続けている。

ゆっくりと廊下を歩きながら降りるための階段へ向かう。

異変に気付いたのはその時だった。


「開いてる......」

普段閉まっているはずの屋上の入り口が開いていた。

その時の僕は狂っていた。

なぜか行ってみようと思ってしまったのだ。

足が勝手に進み、屋上へ出る。


「以外と綺麗にされてるんだ....」

掃除されていたのか、と思えるほど綺麗な屋上だった。

ベンチもあり、風の気持ちいい場所で

僕はすぐに気に入ってしまった。


「少し休んで行こう.....」

ベンチに横になり、目を閉じる。

運動部の声や吹奏楽部の音が風に乗ってやってくる。

最高の場所を見つけてしまった。


どれくらい眠ったのだろうか。

空は闇に包まれていた。

時刻は7時で学校はもう閉まっている時間帯だった。

「やっべ.....帰らないと」

寝ぼけている体を起こしベンチから立つ。

警備員が来たら困るので急いで帰ることにした。

「おーい、お目覚めですかー」

「え?」

声がした。

聞き慣れた声。

「げ....松原まつばら先生....」

「せーかーい❤︎」

理科講師の松原まつばら賀子よしこ先生だった。

身長が146cmしかなくだらけきった白衣をいつも着ている。

年齢は27歳。もうロリババ....おっと誰か来たようだ。


「なんでしょうか先生....?人の寝顔を見るのが趣味なんですかね?」


「失礼なやつだ。私の極上のサボり場を使っていたのは君じゃないか。」


「あんただったのかよ!?てか、いつもだったら理解準備室でサボってるじゃないですか!?」


「教頭にバレた.......(´・ω・`)」


「自業自得ですよね?」


「あんっのハゲが!自分だってサボってるくせに!なんで私だけ!」


「あるあるですねー」


なんとなく適当な話をしながら出口へ向かう。

これ以上話していたら愚痴に付き合わされる!


「じゃあ僕はこれで......」


「まぁ待て雪見ゆきみよ。」


「はぁ....」


「ここの鍵欲しくないか?」


「............話を聞かせてください。」


魅惑的な提案だった。

毎日ここで時間を潰せるのならそれは

素晴らしいことだった。


「簡単なことさ。お前が私の雑用になればイイ。」


「......雑用ってどんなことをするんですか?」


「呼び出した時に来い」


「パシリじゃないですか!?」


「で?いるのか(暗黒微笑)」


「いります........」


「よっしゃぁぁぁ!」


ガッツポーズをとる先生。

誘惑に負けてしまった。

いいか。さぼる時に使おっと。


「じゃあ毎日ここを掃除しろ」


「まぁ....それくらいなら」


「あ、女連れ込むなよ〜?ヤるなら家でやれ」


「しねーよ!!!」


「あとヤるときはゴムつけとけよ?」


「だからそんなことしてくれる人いないって!」


「やっぱお前を弄るのは楽しいなぁ!ほらよっ!」


「うおっと......」


鍵を投げてきた。

まぁこれで目的達成だ...


「僕はもう帰りますからね!」


「はいはーい。気をつけてかえれよー」


屋上から出る。


この時の僕はまだ知らない。


雪見ゆきみ 裕太ゆうたのこれからの苦労を。

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笑っている君のとなりに僕はいたい。 テト/ノア @noa1230

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