昼休みの探偵
鳥の音
期間限定探偵ごっこ 前編
『ふーむ……学校の屋上って、だいたいが立ち入り禁止じゃないですか?あれって何故なんでしょうね?』
「さあ?落ちたりしたら危ないからじゃないのか?」
『でも、屋上には大きくて頑丈なフェンスがありますよね?なのに事故で落下する可能性なんてあるのでしょうか?』
「そんな事よりさ、一つ気になる事があるんだけれど…質問してもいいか?」
『ええ、どうぞどうぞ。私に答えられる事なら良いですけれど。』
「ああ、その心配なら大丈夫だ。お前になら絶対答えられる質問だから。」
『ほほう、絶対と言い切るとは面白いですね。良いでしょう、お聞きしますよ。』
「それじゃあ質問だ…どちら様?」
『何を言います。見ればわかるじゃないですか!女子高生ですよ!それ以上でもそれ以下でもありません。』
「…さいか…。」
『あ!今面倒くさい奴だと思いましたね!』
「思った。」
『正直でよろしい!…ところで、ええと、なんとお呼びすれば?』
「うーん、じゃあ
『ほほう、猫柳さん…変わったお名前ですね?』
「そりゃ、今考えた偽名だから変わった名前だろうな。」
『偽名!何故ですか?男子とは可愛い女子高生に名前を聞かれたら本名を名乗る物でしょう?』
「いやいや、知らない人に個人情報を聞かれたら普通は嘘を言う物だ。」
『ボーッとしていそうでなかなかしっかりしているんですねー…ところで猫柳さん。』
「ん?」
『今暇ではないですか?』
「まあ暇だな、昼飯も食べ終わった所だし。」
『昼休みが終わるまで後15分程あります。どうですか?私と少し遊びませんか?』
「まあ、いいけど。何をするんだ?」
『そうですね、では探偵ごっこをしましょう。』
「また唐突に小学生みたいな事を言いだしたな…」
『猫柳さんはこの昼休みの間は探偵です。私が探偵である猫柳さんに謎を提示するのでそれを見事に解き明かしてください。』
「なんか回りくどく言っているが、要はただのナゾナゾ大会か。」
『その呼び方はやめてくださいよ!何か急にダサくなります。探偵ごっこです!』
「…それも別にかっこよくはないと思うぞ?」
『そんな!』
「それと、先に言っておくと俺は頭が良い方ではないからな?」
『まあ、そうでしょうね。そう見えますし。』
「あ?」
『すいません……では、まずは簡単な謎を用意しましょう…そうですね…では、
【私の性別は男と女、どちらであるか】なんてどうでしょう?
答えだけではなく明確な理由も付けてくださいね?解答権は1度きり、特別にハンデとして質問する権利を3つ与えちゃいます。それでは謎解きスタートです。』
「男であるか女であるか…ねえ…。」
≫ 一見簡単そうなこの謎、厄介なのは答える事じゃなくて理由の方だろう。恐らくだが、わざわざ理由をつける事を公言して来たという事は、仮に答えがあっていたとしても理由が不十分な場合、正解とは認められないのだろう…となると答えを納得させるだけの理由を考える事がこの問題の解き方だ…さて……
『おやおや〜猫柳探偵静かですね〜わからないんですか〜?こんな簡単な謎も解けないなんて本当に探偵ですか?』
「何か腹たつな…一つ目の質問、質問の回答に虚偽はないな?」
『ありませんよ!失敬な。そんなこすい人間に見えるんですか?』
「念のためだよ、じゃあ二つ目の質問、お前は今日、俺に嘘をついたか?」
『ついていませんよ。私は真実しか語っていません!』
「なら、お前は女の子だよ女子高生。理由は発言、さっき俺に誰だと聞かれた時に言ったよな?『見ればわかるじゃないですか!女子高生ですよ!それ以上でもそれ以下でもありません。』て。」
『おお…』
「な、何だよその反応…?」
『いえ、結構しっかり探偵っぽくて不覚にもかっこいいと思ってしまいまして。私はてっきりスリーサイズなり下着の色なりを質問して恥じらう私の反応見ながら、「それがお前が女である証拠だ!ふはははは!」みたいな事を言うのかと…』
「お前の中で俺はどんな人間だよ…と言うかほら、忘れてるぞ。」
『何をです?下着の色ならミントグリーンですが?』
「聞いてない!と言うかそんなもん教えるな!そうじゃなくて正解かどうかだよ…。」
『ああ、失礼しました。正解でーす!猫柳さんは中々探偵向きかも知れませんね。』
「いや、そんな事はないと思うが。」
『そう謙遜なさらずに。時間はまだありそうですし第2問といきましょう。お次の問題は先程の物よりも難しいですよ?』
「さいか。」
『はい!と、その前に、猫柳さんに習って私も偽名を考えました。今後は
「犬と猫か…」
『字面だけだと大変可愛らしい感じがしますよねー…と、いけない、話が脱線しかけました。では続いての問題です…』
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