いざ異世界召喚!!
「う...。ん....。」
ん?
ここはどこー?私はだぁれー??
近くには誰もいないように見えるこの場所で、一人虚しくおふざけを始める。
重い瞼を持ち上げるように目を開くと、辺り一面お花畑であった。
「わお。
王道な森に転移する予想が大幅に外れて、ファンシーなお花畑とは予想外すぎるだろ。
いったいここからどうしろと言うんだ?」
彼はそう言いつつも、森でなかった事に悶々と驚きながら、好奇心のせいか"目を輝かす"と言う言葉が一番合う態度で周りを見渡している。
そうしていた数分の間にいつの間にか背後に立たれていたようで、後ろから話しかけられた。
「こんにちは。
そうですね。森ではございません。
神や天使の住んでる世界.....という認識が地球人の考え方的に一番近いですね。
私は、どの世界からも神聖視されている、いわば"神様と呼ばれている存在"。
それが貴方にも分かりやすい表現でしょう。」
突然、爽やかだがドキッとする青年の声で話しかけられる。
驚きながら声をした方に目線を移すと、そこには金純白の大きな数枚の翼と、白金髪金眼の二次元の様に存在してはならない、と言いたくなるような男前な男性が立っていた。
「.....。
え、えっと。
こんにちは?かみ...さま...?
えーっと。俺って学園アイドル君と一緒に、異世界へ転移するだろうと思っていたんですけど...?
あれですか?巻き込まれモブは、記憶消して地球に戻す、的な?
.........、
いやぁ、それよりも翼とても綺麗で大きくて格好良いですねっ!」
最初は驚いている様子だったが、マイペースな事には変わりがないらしく臨機応変に対応した。
むしろ羽に興味津々のようだ。
が、これは悪く言えば現実逃避の一貫なのかもしれない。
「あー。
まあ説明しにくいのですが...。
なんと....いうか....。
あー、あなたの両親は一応引退した神なのですよ。
そして神様は長寿命です。
それを説明致したく思い、こちらに私が強制的に召喚しました。」
困った。というよりは、迷う、元い、居心地が悪そうに意を決したように、口から彼にとっても処理不可な内容が告げられる。
「へー。
なるほど聞きたい事がたくさん出てきそうだなー。
ねぇ、その翼俺にも生えるのか??
そうだ、ちなみにどのくらい寿命があるんだ?」
彼は処理しきれていない頭で、ふと頭に浮かんだ、神様に言われた事で気になった、興味のある二つの事柄を先に聞いてみることにしたようだ。
「もちろんです。
しかし確かに両親は、元は神という存在ではありますが、あなたは神という役職的に就いてはいませんので、能力が同じでも神と呼ばれる存在ではありませんけどね。
まあ、とりあえず想像して集中してみてください。きっと簡単に出せるはずですよ。
想像力、いえ地球人で言う#妄想力__厨二病__#がありましたら。
そうですね。寿命については短くて数千年、長くてほぼ不老不死ですねー。」
俺にも翼が生えるとか!早速やってみよう!
想像は妄想族の得意分野だぜぃ!
ついでに目の前に本物の翼あるしな。
流石オタクと言うべきか...。
ニヤニヤと楽しそうに笑いながら、目の前にいる神の羽根を穴が開くほど見つめている。
彼が意を決したその直後、鳥が羽ばたくときの様な音と共に、金純白の大きな翼が生える。
神と同じかそれ以上に綺麗に輝く羽だ。
「すんげー!フッサフサー!
めっちゃもふもふ!
高級ホテルの羽毛布団みたいだ。」
彼の発言につい神が自分の翼を守るように抑える中、そんな行動を気にせず彼は自分の触り心地の良い翼を触りながら、
突然思いついたのか、名前は普通に今までと同じように、名乗っていいのか気になったのか聞いている。
「名前は変えたいという気がなければ、そのままで問題ありませんよ。」
「あ。そうなんですねぇ!
知ってると思うが、名前を名乗っておこう。
俺の名前はブラックゴットだぜぇ。キラーン」
なんともツッコミを入れづらいドヤ顔で、自信満々に厨二病な発言をしている。
「それは死神ですか…?いや、神…。
ネーミングセンスゴミですね…。
これはツッコミ入れたほうが良いですかね?」
どう言うか迷う中、苦笑いをしながら神はツッコミを入れてあげる。
「えー!
俺ナイスアイデアだと思ったんだけどぉ?
#絢斗__ケント__#です。
ケントって呼んでねん!」
ケントは名前を名乗り、調子に乗った様子でドヤ顔ウインクをかます。
「そうだ!
学園アイドル君のいる、いや別に居なくてもいいんだけど、とにかく異世界にとばしてくれよ。」
実は元神と言われた両親は、交通事故で亡くしている。
しかしその事で寂しいという態度は一切見せることなく、
アニオタで妄想族の夢でもある異世界へ行きたではないか!
と妙案とでも言いたげなニヤニヤ顔だあった。
「うーん。まあ良いですよ?
何かあれば、この端末に連絡してくださいね?
一応今まで封印してあった、魔力や能力等を解いてあげますね。
あとは...、その鬱陶しいオタ髪切ろうか?」
最後はにっこり笑いながら言った神は、チョキの手をしチョキチョキするポーズをとった。
結構なドスの効いたオーラではあったが、こんな事を考えてニヤニヤしていたケントには効かなかったようだ。
まじで俺神様だったんだ。封印とか。
でも王道な英雄にはなーい!あのヘタレ学園アイドル君がいるしねー。期待してないけど。
ケントが色々妄想しているうちに、髪の毛は切り終えてしまったらしく、神様が鏡を出して向けてきた。
「ケントは両親に似て男前ですね。
そうだ、私がケントの親になるのもアリですがどうします?」
神の爆弾発言を聞きながらも、ケントは脳内で誰に話しかけてるのやら、一人脳内解説していた。
俺の見た目きになるだろ?俺はイケメンだぜ?
自覚はしてるが興味がない。
伝わんなかったって?仕方ないなぁ。
さっき封印を解いてもらったから、
封印解く前はな、
ストレートでサラサラで目まで前髪あって後ろも伸びてる。
もちろん黒髪黒目
封印解いた跡は、
金髪に碧眼
髪は切ってもらってミディアムチャラい感じにふわっともって前髪は少し流す感じ。
イケメンの完成。
学園アイドル君より多分イケメンだぜ?
どうでも良いけど。
ついでに今から行く国の服ももらったので着替えた。ちゃっかりおしゃれで格好良いやつ。
「俺の親になってくれるの?
そりゃ大歓迎さっ!
神様イケメンだし。話し合いそうだしねー。」
少し無理やりテンションを上げたような空元気ぶりに、神は眉を下げ心配だと頭を撫でる。
「返事が軽いですがそんな軽くて大丈夫ですか?」
「そうか?神様がお父さん、しかもイケメン。自慢の父親だと思わない??
最高だろ!二次元オタクなら一回は、何でもできて美形でイケボな親とか、二次元に出てくる親に憧れたことあるだろ!
ノープロブレムだぜ?
神様イケメンだし好きだよ?
親が出来るのは嬉しいし!」
良い、明るく人懐っこい笑顔を浮かべ神を絶賛する。
(それに独り身は寂しぃ...。)
最後に辺りには聞こえないくらいの小さな声で、ボソッと何かを呟くケント。
もちろん神様には聞こえているのだが。
「ありがとうございます。
では、イケメンで憧れになれるような、親になれるよう頑張りますね。
これからは一人じゃないですよ。
私は親になったのですから、是非甘えてくださいね。
ご両親からもらった大切な名前はそのままで良いですね。」
なんて素晴らしい神様...。
いや!お父さんなんだ!
と目を輝かせ父親と憧れを乗せた眼差しで見つめ続ける。
「お父さん、お父さん!
とりあえずどうすれば良い?
魔法とかその他諸々使い方知らないんだけど...。」
ケントは早速お父さん呼びをし、神がどんな反応をするか、ウズウズワクワクとニヤケ面を心の中に隠す。
「お、お父さん!?
ああ!嬉しすぎて今すぐ死ねます!」
嬉しすぎてテンションが上がりすぎたのか空回りしている。
数十秒後すこーし落ち着いたのか話を続けだす。
「........。
す、すみ...。ごめんね...。
ちょっと嬉しすぎまして。
私は敬語外した方が良いですかね?
ああ!それと能力は神様仕様ではありますが、使う人次第で引き出せる、引き出せないは決まるとお思いますよ。
要は活かすも殺すも自分次第。
努力あるのみです!
とりあえずあちらの世界で売っているこちらの書籍『初級 魔法の使い方』を差し上げます。」
神のテンションが顔に合わないくらいに上がりすぎたり、落ち着こうとしているはずが、どこを間違えるとそうなるのか、落ち込んでテンションの落差が少し、いや、まるで百面相をしているように見える。
そんな忙しく表情を変える神を横目に捉えながらも、
お父さんが魔法の使い方の本をくれた!
と嬉しそうに、まるで幼稚園児が宝石のようなキラキラしたものが大好きといったような眼差しである。
「お父さん本ありがとう!
お父さんの自慢の息子になれるように頑張る!
それとね。お父さんが敬語を外すのに慣れてないなら、見た目に対しても合うし、お父さんの好きなようにして良いよ。
俺はこの口調のままでいるけど。
あ!あとお父さん結婚しないの平気?
俺が邪魔になったら親離れするけど...。
交通事故で両親が死んでから、1人だったから嬉しいから。
今すごく幸せだから、お父さんにも好きな人ができたら幸せになってほしいんだ。
俺はそれまで親離れ絶対しないね?
いい...?」
落ち込んだ表情で泣きそうに聞く。
まるで赤ちゃん返りでもしているのかもしれない。
だがケントは自分のそんな感情が表情に出ていると気づいていない様子だ。
本当はさ、やっぱり離れたくないよ。
だって俺にも家族が出来るんだよ?
俺はなぜか学園アイドル君に懐かれて、学園アイドル君が見てない、見られてないとこで密かにいじめを受けてた。
たしかに俺がアニオタのも、イケメンフェイスの自分に興味が無かったのも、オタ髪してたのも悪いけど、なんであんなヘタレ学園アイドル君に懐かれて好かれただけで、そんな扱いを受けなきゃならないだ!と、俺は思うのさ。
女こえーよ。トラウマレベルだぞ!
肉食系女やばいぞあれは!
しかもいじめは典型的だしなぁ。
いじめはどうでも良かったんだよ。
メンタル強いし、まあ肉食系女は男よりやばいけどな...。
まあ、とにかく俺はここ何年か愛に飢えてたから、お父さんの愛がすごく嬉しいんだよね!
だから、頑張ろうと思う!
とりあえず本をいっぱい読んで修行しよう。
ケントはたとえメンタルが強くても寂しいものは寂しいし、悲しくなるときもあるのだろう。
side change.
こんにちは。突然のお父さんこと神様です。
私の脳内にお付き合いお願いします。
やばいのです。
目の前の絢斗が可愛い。
可愛すぎてつらいです!
最初は元気よくて格好良い感じだったんですけど、
言葉には出していませんが、少ししゅんと落ち込み寂しいという顔をしながら、今までの学校生活とか、愛に飢えてたとかそんな感じに、まあとにかくです、なんか今にも抱きつきたくて!
涙目になりながら少し上目遣いですよ!
半端ない破壊力をお持ちです。
イケメンフェイスは自覚しているのにこういう些細な行動は無自覚というか...。
とりあえず可愛いです。抱きしめちゃいましょう!
てな感じで私はこんな絢斗ラブですが、一応神様なので私が管理しているところは大体見ていますし。
私が絢斗を始めて見たときは、女の子達に...。いや。あれは女の子と呼ぶより怪物ですね...。
とにかくあれにいじめを受けてた状況でした。
その時の雰囲気が私の上司に似ていたので気になって調べたら、その上司の息子だった事が分かりまして、上司抜きに一目惚れしてしまったんですよね。
一応恋愛感情よりも可愛い物に対しての一目惚れに近いのですが、やっぱり独りぼっちなのを見ていてそれなら私が親になれば良いとか勝手に思ってしまったんですよね。
親になるって言った時の笑顔は驚きましたね。
言って良かったと思いました。
もともと本当に呼ぶつもりも親になるつもりもなかったのですが。
ちょうど勇者が召喚されるとのことでしたので、一緒に入ってきたらこっちに呼んでしまおうって事でここに呼んでみちゃいました。
まあ。しばらくは内緒ですかね。
あ、すみません。ほぼ一息で語ってしまいましたね...。
とりあえず。
可愛い、絢斗に抱きつきましょう。
ぎゅうぅぅぅう
「絢斗。
私は嬉しいですよ!
大好きです!可愛いです!
ちゃんと私は絢斗の事を息子とし愛します。
私は何があっても味方ですから忘れないように!」
「俺も大好き!」
嬉しいなぁ。
お父さんに大好きって言われるのも言うのも。
あ...。
俺って学園アイドル君のいるとこ行ったら青春学生生活どうするんだろ?
「お父さん?
聞いてもいい?
話の内容すっごく変わるんだけど。
それと....えっと.....、俺お父さんと話してると口調が少し子供っぽくなっちゃうけど、あんまり気にしないで欲しいんだ。」
やはり赤ちゃん返りと言うべきか。
穏やかというより甘えているに近い口調や声音である。
「もちろん。気になんてしませんよ。
好きなように話してください。
私も楽しいですので。
さて、話の内容がズレるというのは、今から行く世界の事に関してですよね。
私が応えられる範囲であれば良いですよ。
そしてお願いがあるのですが、#騎士__キシ__# #勝__マサル__#が絢斗に危害を加えるようであれば元の世界に強制送還を頼みたいのですが、そういう時は出来るだけ早くお願いしますね。」
神も気にしないという事で少し体の力を抜く。
しかしお願いというのは...。
「うーん?お願い?よく分からないけど何かあったらすぐに行動するよ。
なんか天界来たり、神だったり、親が出来たりして色々聞きたいなと思って。
俺は森の中に落ちて、なぜか魔力が勇者以上で、ギルド行って、金稼いで、学園へ行く!
っていう予定だったんだけど、今からどうしようかなって思ってさ。」
ちょっと楽しそうにウキウキとした様子でニカッと笑ってみせる。
「そうしても良いですよ?
まあ学園には行ったらいいと思いますよ。
ふふ。もうすぐ武器と使い魔召喚の授業というのでしょうか?
それがあるのできっと楽しいと思いますよ。
多分勇者君が編入する時期とかぶると思いますが、まあ気にしなくても大丈夫でしょう。
一応小刀と金銭はさしあげますが、訓練や試練という事であまり深くは手出ししませんよ?
本もあげた事ですし、魔物がいっぱいいる森にしようかと思いましたが、
流石にそれは私の良心が痛むので王道のドラゴンとウルフと雑魚魔物がいる森にしましょう。
頑張って下さい!
何かあればすぐに連絡してください。
分かりましたか?」
お父さんの話を聞きながら考えていた...。
それは、学園アイドル君と一緒とか...めっちゃ悪目立ちするんじゃないのか?と。
考えても仕方ないしまあなんとかなるか?
学園アイドル君のいる世界に行かないことには始まらないし、覚悟を決めて行きますか!
「使い魔!!どんな子になるか楽しみだ
!
降りたらちゃっちゃとギルド入って、依頼片付けまくってお金稼ぐ事とにする。
まあどうにかなるだろうと思うし!
じゃあ、送って良いよ!
いってきます!」
と言いうとお父さんが出したのか魔法陣が......
出ると思いきや、地面になっていたお花畑が消える。
「気をつけて行ってらっしゃい。
何かあればいつでも呼んでくださいね。」
「え、ちょ、わ、わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!」
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