生まれたら、やらなければならないこと
夜空のかけら
ちょっと
喫茶店で、ホットコーヒーを注文した2人。
男「ここのコーヒーは、いつもおいしいと思わないか?」
女「ここしか行ったことがないくせに」
男「仕方が無いだろ、ここしか知らないのだから」
2人がいる喫茶店は、いわゆるチェーン店というものではなく、個人のお店。
女「そういえば、こんな話を聞いたことある」
男「どんな話だ」
女「上の空の相手に『いくつ?』と聞くんだって」
男「なんだそれ」
女「試してみたいから、答えて」
男「ええ…、20」
女「嘘つき、25でしょ」
男「永遠の20だ」
女は、ため息を付くと、テーブルの隅にあった砂糖瓶を手元に引き寄せて、小さなスプーンで男のコーヒーカップに砂糖をどかどか入れ始めた。
男「ちょっと、何してるんだ」
女「あら、さっき20って言ったでしょ」
男「年齢が20だって…まさか」
女「うふふ、砂糖をいくつ入れれば良いかを聞いたのよ」
そんな返答をしながらも、コーヒーカップには砂糖がどんどん入れられていく
男「砂糖の山だな」
女「10も入らなかった」
男「少し飲んでしまったからな」
女「なんだかつまらないわ」
男「なにが原因で、こういうことをしたんだ」
女「好奇心が湧いたの。好奇心が”生まれたら、それを絶対しなきゃいけない”の」
男「何その断言調」
女「まだまだ好奇心はあるから、付き合ってね」
男「聞こえない聞いてない、俺は無関係」
女「私たちの間で生まれたの、だから最後まで責任とってね」
好奇心に男が殺されるのも、時間の問題…
生まれたら、やらなければならないこと 夜空のかけら @s-kakera
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