お互いの気持ち

勝利だギューちゃん

第1話

「雨か・・・」


外は雨が降っている。

梅雨の時期。

雨はとても大切。


インドア派の僕には、いいわけにもなるので、

ありがたくもあるが・・・


だが、さすがにこう毎日だと、うんざりする。


「仕方ない、外へ出てみるか」


僕は、トートバックをもって、外へ出かけた。

中には、折りたたみの傘とスマホと、学生証を入れてある。


財布も持った。


「行ってきます」

一応、家族に声をかけて、傘をさして、レッツゴー。


僕の名は、五島冥


「♪雨雨降れ降れ、母さんが~」

という童謡があるが、この歳で迎えに来られても、嬉しくない。


まあ、それはおいておいて・・・


あっ、あそこにいるのは、クラスメイトの女の子の、

雛乃真亜耶(ひなの まあや)さん。


傘を忘れたのか?

困っているようだ・・・


喫茶店の前で、困っている。


「雛乃さん、こんにちは」

「あっ、五島くん、こんにちは」

「どうしたの?」

「傘、盗まれちゃって・・・」


話を聞くと、喫茶店に入っていたら、

傘立てに入れておいた傘を、誰かが間違えたようだ。


僕は、トートバックにいれてあった、折りたたみ傘を手渡した。


「いいの、五島くん。

「うん、気にしないで」

「ありがとう、埋め合わせはするからね」

「いいから、いいから」

こうして別れた。


で、これがきっかけでお付き合いが始まるなんて、

ドラマや漫画みたいな事はおきるはずもなく、それまで通りの関係なのだが・・・


折りたたみの傘は、まだ返してもらっていない。

まあ、あげるつもりだったので、いいのだが・・・


『真亜耶、その傘どうしたの?男物だよね?』

『うん、五島くんから借りたんだ。傘、盗まれた時にね』

『五島くんから?返さなくていいの?』

『うん、もうしばらくは、そばに置いておきたい』

『真亜耶から、気持ち伝えなよ。』

『ううん、私、待ってる。彼が勇気を出してくれる事を・・・』


お互いに好き合っているのに、友達のままで、終わってしまう。

それは、男の子に勇気が足りなかったと言うが・・・


その事に気付くのは、かなり歳をとってからだ・・・




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お互いの気持ち 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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