2019.7.12
「私はクォーターだったのです」
目の色が薄らと榛色の私が語る。
「祖母は戦後の日本で、米軍の駐屯地で働いていました。あの頃の日本は貧しかったけれど、駐屯地の中はそんな事はなかった。毎日パーティーが催され、祖母も分厚いステーキに甘いアイスクリーム、珍しいカクテルをご馳走になったと聞きます」
私の髪は黒髪だが、祖父はブロンドだったと聞く。
「パーティーで出会った二人が結ばれたのは当然と言えましょう。祖父は拙い日本語で愛を紡ぎながら、祖母に薔薇の花束をプレゼントしていたのです。そんな事は日本の男には出来ない事です」
ただ、二人は正式には結婚する事は無かった。その当時の風潮がそれを許さなかった。引き離された祖母の腹の中には祖父の子供が居たと言う。母の事だ。
その後、祖母が結婚した今の亡くなった日本人の祖父がどんな思いで違うお国の血が混じった母を育てたかは分からない。
母は奔放な人で、何度も家出を繰り返したと言う。紫色のミニスカートが似合った、と母は言っている。
「本当の祖父に会いたい、気もします」
駐屯地の恋はハーレクインの様に魅力的だ。
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