第178鱗目:クリスマス!龍娘!
『見てくださいこのイルミネーション!とっても綺麗ですねー!』
へー、あの電飾ってイルミネーションって言うのか。初めて知った。
12月も半ばを過ぎて時々雪が降るほどになってきた頃、流石に寒さにも慣れて朝早く起きる事ができるようになった僕は、日課の朝のニュースを見ていた。
「ふぁー……おはよー鈴ちゃん……むぎゅー」
「ちー姉くるしいー」
主にお胸のせいで、テレビが見えませぬ。
「えへへへへ、鈴ちゃんあったかーい」
「もー」
まぁちー姉はそういう所もかわいいんだけど。
「そういやもうそんな時期かー」
「そんな時期って?年末ってこと?」
確かに年末年始は忙しいもんねー。セールとか沢山あるし、そこで次の年の為に1番安い洋服取ったりとか長持ちする缶詰めを山のように買ったりとか。
「今年もがんばらないと!」
「もう、最近見なかったのにまーた鈴ちゃん前の生活の癖が出てるよ」
「……あ」
「全くもう、それに年末年始の前にクリスマスでしょ」
おっと、そういやそんなイベントもあったっけ。えーっと確か……
「サンタっていう赤と白の服のおじさんが一年間いい子にしてた子の所に何か持ってくるんだったっけ?」
前に商店街で子連れの常連さんが子供にそんな話してた気がする。
「そうだよー。鈴ちゃんはきっと凄くいい子だからサンタさんからもプレゼント貰えてたでしょー?」
「それがね?今まで商店街のお手伝いしたり、ゴミ拾いしたりしてたんだけど、僕には1回も来てくれた事ないんだよね」
「…………えっと、鈴ちゃん?」
「なんというか、いい子の基準がわかんないんだよね。妹は貰ってたんだけど僕は貰え出なかったし……もしかしたら何か必須条件みたいなのがあるのかなぁ?」
事前にお手紙を出しておくとかサンタさんをお迎えするとか…………最近隆継とゲームし過ぎかなぁ……今後はちょっと控えよう。
そんな事を考えながら相変わらずクリスマスの話題で持ち切りなテレビを見ていた所、ふとちー姉の雰囲気が変わっている事に僕が気がついて声をかけると────
「鈴ちゃん!お姉ちゃんちょっと用事出来たから!」
「うっ、うん!?わかった」
「よし。みんな起きて!緊急事態!緊急事態だよ!あだっ!いだっ!いででででっ!」
ガシャン!ドゴン!ドッテン!ガラガラガラ……
い、一体なんだったんだろう……
ちー姉は勢いよくリビングを飛び出し、何かを叫びながら廊下を走っていったのだった。そしてそんなちー姉を見て、僕はぽかーんと暫くの間固まったままになっていた。
そしてクリスマス当日の朝────
「…………んんぅ……」
なんか……なんかすっごい熟睡してた気がする…………えーっと確か昨日の夜はクリスマスイヴだからってご馳走食べて、それからなんか凄くいい気分になってすぐ……
「寝ちゃっ……た?…………ん?なんか枕元に……」
ーーーーーーーーーー
ドタドタドタドタ……
「お、やっと鈴ちゃん起きたかな?さて、鈴ちゃんはどんな反応してくれるかな~♪」
パァン!
「ちー姉ちー姉ちー姉!みてみて!枕元にあったの!いっぱい!たくさん!」
目の覚めた僕は、枕元にあったゆうに20個は超える大量の可愛い包装の施された箱を翼に乗せてリビングへと駆け込むと、興奮した様子でちー姉に届いてたプレゼントを見せる。
「よかったねー鈴ちゃん」
「うん!でも……今まで来たこと無かったのに、どうして今年になって来たんだろ?それもこんなに沢山」
なんか悪いなぁ。
「そういや昨日サンタさんが「今まで忙しくて来れなかったんだ。だから沢山あげよう」って言ってたよ」
「ふーん……それよりもちー姉!もういいかな!開けていいかな!?」
「いいよいいよー、ほら開けちゃお!まずはこれなんかどう?」
「うん!これなにかな?なにかなぁ!」
こうして僕は尻尾をぶんぶん振り、翼もぱたぱた動かしながら、今年1番のはしゃぎ様でプレゼントを一つ一つ丁寧に開けて行ったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます