第156鱗目:姉との文化祭!龍娘!

「ちー姉ちー姉!どこから回る?どこ行きたい!?」


「落ち着いて鈴ちゃん。そうねぇ……鈴ちゃんのオススメは?」


「僕のオススメ?それなら予定変わるけどさ、ちょっと寄り道してクラスの出し物の方を見に行かない?」


「別にいいけど……どうして?」


「せっかくなら色々楽しんでほしいし、それに僕はともかくちー姉はまだどんな出し物があるか知らないでしょ?」


「あらあら、別に気にしなくてもいいのに。でも鈴ちゃんがそう言うなら先に行っちゃおうか」


 何となく今学年の出し物の方に行くと例の金髪さんとかち合う気がした僕は、そう言ってちー姉と一緒に学年棟へと向かい始める。


「前に一回来たけど、やっぱり鈴ちゃんをこの学校に入れてよかったわ」


「そう?」


「えぇ、だって沢山仲のいい人出来てるみたいじゃない」


「そうかなぁ〜」


 そんな事言われると何だか照れくさいよ〜。


「いやいや、そうじゃなきゃ屋台の前を通る度に商品貰えたりお菓子貰えたりしないでしょ。まぁそれを一瞬で食べる鈴ちゃんも鈴ちゃんだけど」


「だって美味しいんだもーん」


 ーーーーーーーーーーーー


「ちー姉ちー姉!」


「はいはい、なーに鈴ちゃん」


「あっちの肉巻きおにぎりっていうの美味しいんだよ!ちょっと寄り道していかない?」


「あらそうなの?せっかくだし食べていこうかな」


「うんうん、そうしよそうしよ!」


 そう言って僕がお店に向かおうとすると、こっちに気がついたのか肉巻きおにぎりの屋台の人がちょいちょいと手招きして僕を呼んでくる。


「鈴ちゃん呼ばれてるよ?」


「だねぇ、どうかしたのー?」


「いや今日も食べに来てくれたのかなと思って」


「そうだよー、というわけで肉巻きおにぎり2つお願いね!」


 ーーーーーーーーーーーー


「いやーよかったねちー姉、綺麗なお姉さんだってさ!」


 ちなみにとらちゃんもそう言ってた!


「もー、恥ずかしいから言わないでよー。あ、鈴ちゃん」


「ん?なーに?」


「あれ行ってみない?マジックショー!」


「あー……」


 マジックショーかぁ……あれなぁー……


「どうしたの?嫌だった?」


「いや、そうじゃないんだけど、僕自身が大きいのと、油断して尻尾揺らしちゃうと人とか物に当てちゃうから……」


「あー……確かにね、鈴ちゃんはどーしてもスペース取っちゃうからねぇ」


 何となく気まずくてちー姉から目を逸らしつつそう言う僕に、ちー姉は仕方ないといった風に頭をぽんぽんとしてくれる。


「でもあそこに何か書いてあるよ?」


「えーっとなになに……龍娘専用席アリ、気ヲ使ワズニゼヒドウゾ……」


「ふふふっ、見事に見透かされてたね」


「う、うるさいなぁ……それなら第3部の開始時間にもピッタリだし……見ていく?」


 耳を赤くして上目遣いにちー姉にそう聞くと、ちー姉はもう一度僕の頭を撫でてから僕の手を握り、満面の笑みを浮かべるのだった。


 ーーーーーーーーーーーー


「いやー楽しかったねぇ」


「ねー、思ってたよりもちゃんとしたマジックショーでびっくりしちゃった」


 一通りお店を回ってきた僕達はそろそろいい時間という事もあり、ガヤガヤと騒がしい体育館に来て学年の出し物を待っていた。


「えーっと確か、2年生の出し物はクイズ大会だったっけ?」


「そうそう、景品も出るって話だよ。ほら、噂をすればなんとやら、景品が運ばれてきたよ」


 僕の視線の先で並べ始められたクイズの景品であろう品々を見ていた僕は、ふと数ある景品の中に紛れる白いもふもふを目にして──────


「にゃんこうだー!ねぇねぇ、ちー姉!にゃんこう!にゃんこうあるよ!」


 思わず大はしゃぎしてしまった。


「あらほんと、鈴ちゃんあれ欲し…………聞くまでもなかったね」


「ちー姉!クイズぜっっっったい正解しようね!」


「ふふふっ、はいはい。これは絶対勝たなくちゃね」


 その後、僕は途中で間違えてしまったが、ちー姉が勝ってくれたおかげで僕はにゃんこうを手に入れることが出来たのだった。

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