第133鱗目:三浦先生のお土産!龍娘!
「ただいまぁぁぁぁぁぁうっ」
「おおっと!ちー姉お疲れ様、ご飯出来てるよー」
いきなりへなへなーって倒れ込んで来るとは……今日はいつもよりお疲れのようだ。後で肩もみしてあげようかな?
「ありがと鈴ちゃん〜、いつも助かってるよ〜」
「ちー姉が働いてくれてるお陰で今があるんだから、感謝するのは僕の方だよー」
疲労困憊で帰って来たちー姉から受け取ったバックや白衣をポールハンガーにかけつつ、僕はちー姉の頭を撫でながらそう言う。
「それで鈴ちゃん、お泊まり会楽しかった?」
「うん、楽しかったよ。楽しかったけど…………ちょっと自分を見直す必要があるなぁ……って」
人間としての常識とか知らぬ間に女の子に染りかけてたとかね。
「……?まぁ楽しかったなら良かったよー。あっ鈴ちゃん、ちょっとその紙袋取ってくれる?」
「これー?」
嗅いだことがないなんかいい匂いがするけど……なんだろう?
そう思いながらご飯を食べ終えたちー姉に僕が袋を渡そうとした所で、ちー姉が帰ってきた事を知ったさーちゃんと隆継がリビングにやってくる。
「千紗さんおかえりなさい」
「お姉さんお疲れ様っす」
「お、2人とも丁度いい所に。三浦さんが海外のお土産買ってきてくれたんだよー!」
あ、そういや三浦先生短期間の海外出張に出てたんだっけ。後でお疲れ様とありがとうメール送っておこう。
「それで中身は?チョコ?」
「お、正解鈴ちゃん。お高いチョコだってさー」
「「「おー」」」
そう説明しながら包装を破いたちー姉が箱をカパッと開けると、中からとてもいい匂いがして僕達は思わず声を上げる。
「20個あるから1人5個だな」
「だね、それにしてもいい匂いー」
「お酒とかで香り付けされてるのかしら?」
なるほどお酒か、だから嗅いだことが無いわけか。ちー姉はお酒飲まないからなぁ……
「成分表見る限り、さなかちゃんの見立て通りお酒入ってるみたいね。一応聞くけどこういうお酒でもダメな人とかいる?」
「アタシは大丈夫ですよ」
「俺も大丈夫な筈です」
「僕もー」
薬とかにこの体凄い耐性あるし多分大丈夫でしょっ、というか美味しそうだから食べたいし!
「鈴ちゃんが大丈夫かわかんないけど……まぁ大丈夫よね。それじゃあ皆、三浦さんに感謝してー」
「「「「いただきまーす」」」」
そう言うと僕達はヒョイッとその1口サイズのチョコレートを口へ放り込み、それぞれそのお高いチョコレートを味わい始める。
「んん!美味しいね!」
これは美味しい!甘すぎず、かと言ってチョコレートから味は崩れてない。そして何よりこの匂いがいいね、それになんだか体がぽかぽかして─────
「おお……美味いな、これ」
「これはついつい手が伸びちゃうわね、鈴はどう?気に入った?………………鈴?」
「ふにゃい?」
チョコレートを食べてなんだかぽわぽわした変な気分になってきていた僕は、さーちゃんに呼ばれてそんな気の抜けた返事を返す。
「なぁーあーにー?」
「あ、えーっと……ちょっ、ちょっと待っててね。千紗さん千紗さん、鈴の様子が」
「ん?鈴ちゃんが?…………あー、これは…………」
「酔っ払ってるな」
「酔っ払ってるわね」
「酔っ払ってるね」
「えへへ〜、どしたのみんなぁ〜〜。ぼくのほうみてきてぇ〜、いくらぼくがみんなすきだからってぇ〜えへへ〜〜」
「これはまた意外と言うか、まさか色々と強い鈴香が酒に弱いとは」
「ちょっと、いやかなり意外だったわね、どうします千紗さん?」
「と、とりあえず寝かしてあげようか……鈴ちゃんおいでー」
「ん〜」
ちーおねーちゃーんだ〜。
ぱんぱんと手を叩いて僕を呼ぶちー姉へと僕は近づくと、むぎゅうと抱きついて尻尾を巻き付けながらすりすりと頬ずりを始める。
「鈴ちゃんこそばゆいよー?とりあえずお布団行こっか?」
「や〜、みんなといっしょがい〜、ちーおねーちゃといっしょがい〜。ぎゅ〜してほし〜い〜、なでなでしてぇ〜」
はなれたくにゃい〜。ずっといっしょ〜。
「やばい……これは…………ちょっとやばい………………」
「す、鈴?アタシの事は」
「お、俺は!?」
「さーちゃんもすき〜たかつぐもすき〜ちーねーちゃもすき〜、みんなだいすきゅう〜〜」
「「「はぁぁぁぁぁ〜〜…………尊い」」」
「えへ〜〜、けぷっ、みんなぎゅ〜」
そう言って僕は皆を翼で包み込み、ほんのり赤くなった顔に満面の笑みを浮かべながら幸せそうにそういうのだった。
そして次の日、目の覚めた僕はなんだかとても満足したような感じの3人を見て、昨晩何かあったのだろうかと首を傾げつつも、3人が元気そうなら良かったと学校へ行く身支度を整えるのだった。
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