第126鱗目:寝る場所!龍娘!
『────という訳で次回!未知の生物へと迫る探検隊!乞うご期────』
「あがりー!っと」
「あーん!また最下位やー!すずやん慰めてー!」
「あらら、よーしよーし」
またとらちゃん負けちゃったかぁ。まぁでもとらちゃん結構顔に出ちゃってたもんなぁ……そこを治さないと勝つのは難しいだろうなぁ。さて────
ババ抜きの最下位争いで隆継に負けたとらちゃん
に抱きつかれ、なんとも言えぬ顔で僕はよしよしと頭を撫でてあげていた。
皆お風呂を済ませた後、そんな風にテレビ番組をBGMにしてトランプで遊んでいた僕達は、夜遅くにも関わらずワイワイと盛り上がっていた
「さて、それじゃあそろそろ寝よっか」
もう10時半だしね、どうせとらちゃんはお布団入ってからなかなか寝ないと思うし、これくらいの時間で寝るように言っとくのが正解だと思う。
「えー、もう寝るんー?せっかくなんやしもっと遊ぼうよすずやーん」
「だーめ、明日は朝早く起きてから残ってる分終わらせるって言ったでしょ。ほら片付けて片付けて」
「ぶー。すずやんのけちー」
「そうです、僕はけちんぼなのです。だからわがままいう子のご飯を朝昼晩もやしだけにしてやるぞー。勿論、隆継もだからね?明日の朝船漕いだりしたら……」
「な、何言ってんだ鈴香!そんな事、する訳ないだろぉ〜?」
「だよねー」
言わなかったら絶対遊ぶ気だったな隆継。念の為鎌かけて良かった。
「さ、それじゃあ寝ますか」
「「「「はーい」」」」
顔を引き攣らせる隆継に笑顔でもう1つ圧力をかけてから、パンパンと手を叩いて僕がそう言うと皆は返事をしてそれぞれの寝床へと戻るのだった。
ーーーーーーーーーー
「んで、とらちゃんは予想出来てたけどさーちゃんもこっちに来るのね」
「鈴はアタシだけ1人で寝ろって言うの?」
「そんな事言うはずないから2人分のお布団を今僕が持ってるわけなんだけどね」
ぺたぺたといった女の子らしい軽い足音が3人分響く暗い廊下の中、僕はさーちゃんととらちゃんの後を2人分の布団を抱えて歩いていた。
「それにしても、珍しいくらいすんなりとすずやんが部屋で寝る事許してくれたなぁ」
まぁお泊まり会やるってなった辺りからどうせ僕の部屋でとらちゃん寝るんだろうなぁって分かってたし、今更さーちゃん1人増えた所で問題ないさ。
「それは虎白ちゃんが言うことが大体いつも突拍子もないからじゃないかしら?分かってさえいれば鈴は大体1つ返事でOKしてくれるわよ」
「ってことは……ウチがそう言うって予想されてたって事!?」
お、とらちゃんが理解した。
「まぁそうなるねー」
「それって地味に酷くない!?」
「ふふふ、虎白ちゃん気にしない気にしない。ほら鈴の部屋ついたわよ」
「お!ここが時々認識ズレてるガールであるすずやんのお部屋か!はてさて一体どんなお部屋か」
時々認識ズレてるガールて………さてはさっきの予想されてた仕返しだな?
イッヒッヒと言わんばかりの顔で僕の部屋へと入っていくとらちゃんを見て、僕はそう思いつつ2人に続いて部屋へと入る。
そして運んできた二人の分のお布団をよっこらせ置いてどこに引こうかと顔をあげると、さっきまで横にいたとらちゃんがクローゼットを開けようとしていた。
「さーてすずやんは一体どんな服をぉっ!?」
「人の服を勝手に見ようとするのはどうかと思うよとらちゃん。後見たとしても全部ちー姉が持ってきたやつだから、分かるのはちー姉の趣味だけだよ」
まぁ服はね、服は。そう服は。
「わっ!わかった!わかったから宙吊りは堪忍してー!」
「仕方ないにゃー」
「びっくりした……でもすずやんの部屋って、置いてあるぬいぐるみがにゃんこうのぬいぐるみしかないのを除けば普通の女の子らしい部屋やねー」
良かった良かった、変とか言われなくて。でも普通の女の子らしいねぇ…………まぁ、うん、素直に喜べないのは仕方ないよね。
尻尾で吊り上げたとらちゃんをお布団の上に降ろした僕は、とらちゃんによる部屋の評価を聞き微妙な気持ちになったのだった。
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