第111鱗目:お呼ばれ!龍娘!

 まだ来たの2回目だけど………やっぱりでかいなぁ……………


 ピーンポーン


「そしてこの威厳ある門に付けてあるインターホンの違和感よ」


「隆継、そう言うのは突っ込んだらダメだよ」


 まぁ僕も気になっちゃいたけどさ。


「そうよ、アンタもよく言ってるじゃない。突っ込んだら負けだって」


「うんまぁ、そう意味でもあるっちゃあるんだけどな?」


 相も変わらず立派なとらちゃんの家にある門の前で僕達がそんな話していると、違和感バリバリなインターホンからとらちゃんの声が聞こえてくる。


『お、すずやん達来たんね!門の鍵は開けてあるから早いとこ中に入ってきてな!』


「うん、わかった。それじゃあ二人共、行こっか!」


「おう!」「えぇ」


 僕が返事をするとインターホンから通信の切れるような音が聞こえ、それを聞いた僕達はとらちゃんに言われた通り門を開けて中へと入っていった。


 ーーーーーーーーーー


「皆いらっしゃーい!今日は来てくれてありがとうな!」


「せっかくのとらちゃんからのお呼ばれだもん、行かない訳ないよ!」


 それも流しそうめんだっていうからね!あれテレビで見てやってみたかったんだよー!


 そう、僕達は今日とらちゃんから流しそうめんにお呼ばれされてとらちゃんの家へと来ているのだ。

 そしてそんなとらちゃんに僕は握られた手を振られながら、流しそうめんが楽しみでひゅいひゅいと尻尾を振りつつ目をキラキラさせていた。


「それでもわざわざこの暑い中虎白のわがままで迷惑かけたな、せめて今日は楽しんで行ってくれ」


「おう、そうさせて貰うぜ龍清」


「アンタは態度が大きい、という訳で流しそうめん隆継が一番後ろね」


「ひっでぇ!鈴香に全部食われるじゃん!」


「隆継、それも結構僕に酷くない?」


 ま、まぁさーちゃんも隆継もなんやかんや楽しそうで良かったよ、特に隆継は結構無理矢理連れてきたからね。本当に良かった。


「あはははは!やっぱり皆と居ると楽しいなぁ!それじゃあもう用意はしてあるから早速行こうか!皆こっちやでー!」


 とらちゃんはそう言うとサンダルをぺたぺた言わせて玄関から出て、僕達を流しそうめんの用意をしてある場所へと案内してくれる。

 そしてとらちゃんの後を着いて少し歩いていくとそこには、立派な庭の一角にこれまた立派な流しそうめんの舞台が用意がされていた。


「「「おぉー!」」」


 凄い!思ってた通りのというか想像通りだ!


「これはテンション上がるな!」


「えぇ、ちょっとこれはテンション上がるわね。鈴は……聞かなくても分かっちゃうわね」


「はっはっはっ!そんなに尻尾と翼を動かす程喜んでくれるなんて誘った甲斐があったなぁ、なぁ虎白!二人も今日は来てくれてありがとうな!」


 そう言って素麺の入ったザルを抱え、廊下の奥から出てきたとらちゃんのお父さんである雅紀さんは、嬉しそうに僕達へ笑顔を向けてくる。


「あ、雅紀さん!お久しぶりです!」


「お久しぶりです雅紀さん」


「えっ、二人ともその人知ってんのか?というか見た目完璧にあれだけど大丈夫なのか?ていうかまず誰?」


「うん、まぁね」


 たぶん雅紀さん自己紹介するだろうし黙っとこう。隆継の反応が楽しみだ。


「天霧ちゃんはこの間の事もあるからな、精一杯おもてなしさせて貰うで!」


 なんともなかったんだからそんな気を使わなくてもいいのに〜。でもまぁ。


「ありがとうございます!楽しませて貰いますね!」


 別に拒否することでも無いと思った事は言わずに、そう言って僕はニコッと雅紀さんに笑顔を返す。

 すると雅紀さんは満足気に頷いて隆継の方へと向く。


「それでそこの君とは初めてやね、俺は虎白の父の朱雀峰雅紀っちゅうもんや。よろしくな!」


「あ、はい。よろしくです……ってえぇぇぇぇえ!?朱雀峰さんのお父さん!?えぇぇーー!?」


「ぶふっ!ナイスリアクション隆継…………!あダメだっ!あははははははっ!」


 隆継へ向き直した雅紀さんが自己紹介をすると、隆継は僕の思っていた以上の反応を見せてくれてそれを見た僕は大笑いしたのだった。

 そして僕が食べる方より流す方にハマったのは気にしてはいけない。

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