第110鱗目:メガネ!龍娘!
よーしできた!
「んんー!何とか完成に漕ぎ着けたぁー!」
僕はそう言うと腕を伸ばしながらぐぐぐと翼を大きく広げて伸びをして、机の上に大きく広げてあるそれを手に取る。
それは僕の翼くらいの大きな白い三角形の布が2つ繋がっている物で、鱗と同じ色の菱形の刺繍が施してあり、縫い付けてない部分は薄いレースで縁取られていて、反対の頂点には穴が開いていた。
「つ〜よい〜ぞ〜ガルゴルト〜って、鈴香ここに居たのか、その様子だともしかして完成したのか?」
お!隆継ちょうどいい所に!
「うん!せっかくだし隆継ちょっと被せるの手伝って!」
「おう、任せろ」
隆継はそう言うとその大きい三角形の布を持って僕の後ろへと回り込み、その布を僕の翼へと片方づつ丁寧にかけてくれる。
最後に僕が翼を少し動かして翼爪を穴から出すと、それは片翼づつ両方の翼をぴったりと覆う、言うなれば翼カバーと言うような感じになっていた。
大きさは問題なし、途中の関節の所も問題なく覆えてる。翼の間にある背中の部分もカバー同士の繋ぎ目の布で隠せてるし、動かしてもゴムで問題なし。
「うん、完璧!どうどう隆継ー似合ってるー?」
「おう!なんか野性味溢れる生き物感から天使っぽくなったっつーか、上品な感じになって似合ってるぞ!」
やっ、野性味溢れるって…………ま、まぁとりあえず似合ってるなら良しとしよう。
「さて、翼カバーも出来た事だし裁縫道具も片付けないと」
僕はそう言うとカチャリと薄水色のフレームが上にだけあるメガネを外し、パチパチと瞬きをして視界を調節する。
「前から見かける度に思ってたんだけどさ」
「うん?」
どうかしたのかな?
「鈴香ってすっげぇ目いいのに、縫い物とか本読んだりする時って時々メガネかけてるよな。どうしてだ?」
「あぁ、これね。普通にしてる分にはいいんだけど、手元とか近い所を集中して見てるとすぐに目が痛くなって疲れるからかけてるんだよ。どう?似合ってる?」
「そ、そうだな……似合ってる…ぞ、おう……」
ん?隆継の耳赤くなってる……もしかして恥ずかしがってる?いやこれは…………ドキッとしたのか?
僕はそう隆継に説明をするとメガネをかけ直して二へへと笑いながら、隆継の方をじっと見つめる。
すると隆継は耳を赤くして半歩身を引くと、恥ずかしそうに目を逸らしつつ顔をポリポリと掻きながらそう言う。
そしてそれに気がついた僕は……
…………ちょっとからかってやろーっと!
そしてそれを見た僕はニヤァっと悪い笑みを浮かべると、隆継をからかい始める。
「なになにー?ドキッとしちゃった?僕にドキッとしちゃった?」
「なっ!うっ、うるせぇ!尻尾掴むぞ!」
「きゃー、隆継のえっちー」
なんか隆継に尻尾触られるのはすっごい恥ずかしいし!それは勘弁!
「なっ!この野郎!」
「心はともかく少なくとも体は野郎じゃないもん、女郎だもーん」
尻尾を掴もうとする隆継の手を僕はしゅるりと尻尾を動かして避けると、くるりと身を翻してべーっと舌を出して隆継へそう屁理屈を言う。
「ほー………そうだよなぁー、体が女なんだから女扱いしなきゃいけねぇよなぁー」
「あ、いや、それは────」
「ほら鈴香、お前可愛いんだからこの髪留めとか似合うんじゃねぇの?」
「なんでそんなの持ってるの!?というかどこから出した!?」
というか形勢逆転された!?
「それにせっかくそんなに可愛いんだから可愛いポーズとって写真撮ろうぜ?ほら撮ってやるからさ、ほらほら」
まずい!流石にやりすぎた!目がマジだ!
「悪かった!僕が悪かったからっ!」
そう言って僕はパタパタと手を振りながら必死に首を振って隆継に全力で謝る、しかし隆継はそんな事関係なしにずいずいとこちらへ近づいてくる。
「はっはっはっはっはっ、どこへ行こうというのかね?君は今から私の手によって私の理想の女の子にされるのだよ」
「嫌だ!絶対嫌だ!」
というか何そのセリフ!どこかで聞いた気がするけどなんかダサい!
「ほーら怖くなーい怖くなーい」
「怖いっ!目が怖いよ隆継!」
「さぁ、覚悟したまえ」
「ひぃぃぃぃぃい!」
その後、僕は隆継にだけではなく乱入してきたちー姉にも色々とされたのだが……詳しくは語るまい、いや語りたくない、思い出したくない。
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