第100鱗目:お祭り!龍娘!
「おぉ!龍娘だ!」「居るのわかり易いなぁ」「天霧さんもお祭り来てる〜!」「いつ見ても翼でかいなぁ」「ウチの店来てくれねぇかなぁ」「私服の天霧さんかわえぇ」
夕暮れ時、ちゃんからちゃんからという鐘の音とぴーひゃららという笛の音が賑やかな雰囲気を作っているお祭りの会場へと、僕達は来ていた。
「流石に人多いしクラスメイトもちらほら居るな、んで案の定鈴香とその連れの俺らは見られてるわけだ」
「だな、でもまぁ」
「とらちゃんとらちゃん!お店いっぱいあるよ!何処から行く?何処から行く!?」
「やっぱりまずは食べ物系やな!たこ焼きにチョコバナナ、焼きそばにりんご飴!!くぅー!すずやん行くで!」
焼きそば!たこ焼き!お祭りって感じのだ!
「うん!いこっ!」
「こーら」
「「ぐえっ!」」
「「いこっ!」じゃないわよアホ娘共、早速はぐれる気かしら?」
「そんなの関係なく早速楽しんでるみたいだな」
早速屋台へ突撃しようとした僕ととらちゃんはさーちゃんに襟を捕まれる、そしてそんな僕達の様子を隆継達は一安心といった目で見ていた。
ーーーーーーーーーーー
おぉー!これがりんご飴!見た目は綺麗だけど味の方は……
「しゅっぱい!」
「ふふふっ♪鈴、顔がんーっ!てなってるわよ」
「だってすっぱくてー!」
飴の部分は甘かったのだが、リンゴの部分が酸っぱく、僕はさーちゃんがいうように目を瞑って口元を抑えていた。
「ほら鈴香、水」
「ありがと隆継ー!あー酸っぱかった!」
ーーーーーーーーーーー
「意外と難しいなぁ〜」
「だな、輪投げって結構難しい」
「次僕やるー!はいおじさん300円!」
「おっ、次は龍のお嬢ちゃんか!毎度あり!はい輪っかね」
よーし!絶対取るぞー!
最初にとらちゃんとむーさんが輪投げに挑戦したものの輪っかは意外と入らないもので、2人はなにも取れずに後ろに控えてた僕と交代する。
そして2人と交代した僕は……
距離と輪っかの飛び方はさっきとらちゃん達で見たからね!よーしっ……
「えいっ!」
「おっ!お嬢ちゃん上手いね!はいこれ景品」
「やったぁ!よーし次は……」
見事1発で狙っていた景品を取る事が出来て、その場で尻尾を大きく振って喜ぶ。
そして余った輪っかで、僕はとらちゃんとむーさんにお揃いのストラップを取って2人にプレゼントしたのだった。
ーーーーーーーーーーー
「はい、どうぞー」
「ありがとー!」
チョコバナナ!1回食べてみたかったんだよねー、これもアーモンドとかのってて美味しそう!それじゃあ早速────
「おっと、食べるのはちょっと待ってねー?」
「んう?」
チョコバナナを買った僕が早速食べようと口を開けると、店員さんが待ってと言って来て、僕は何かあるのかなと首を傾げる。
「お姉さんにジャンケンで勝てばもう一本プラスにトッピング追加してあげるよ、どうする?挑む?」
トッピングプラス!もう一本!
「やるやる!ジャンケンするー!」
余りにも僕にとって魅力的な言葉に、僕は目を輝かせて尻尾を振りながらそう元気よく返事をする。
「喜んでる所悪いけど、勿論勝たないと貰えないからねー?それじゃあ行くよー!」
勝ってもう1個……!勝ってもう1個!トッピングも!
「じゃーんけーんぽん!」
店員さんはグー、そして僕は……
「かったぁ!」
パーを出していた。
「おめでとう!はいもう一本とプラスのトッピング!また来てねー!」
「うん!また来るー!」
「良かったわね、鈴」
「うん!」
追加のトッピングの乗ったチョコバナナを両手に持ち、僕はさーちゃんに向かって大きく頷いてチョコバナナを食べる。
その初めて食べたチョコバナナはとても甘くて少し冷たいけどほんのり暖かくて、とても美味しかった。
ーーーーーーーーーーー
ここだ!
「あー!破れたー!」
「亀掬いは難しいからなぁ、せっかくだし俺もやるか。おじさん1回」
亀掬いに僕は挑んだが1匹も掬う事が出来ずにポイを破いてしまい、尻尾をしゅんとさせて次に亀掬いに挑戦する隆継と交代する。
「おっ次は兄ちゃんかい!はい500円毎度!」
「いいか鈴香、亀掬いはまともにやっても絶対取れねぇからな、こうやって待ち伏せしてポイの根元、一番プラスチックの面積がある上に腹が来たところで……いよっしっ!取れた!」
「おぉ!隆継凄い!」
紙は水でベチャベチャだけど!半分くらい破けてるけど!
「だろう?ほら鈴香、やるよ」
「ほんと?ありがとー!」
よし、今日からお前は亀のかーくんだ。
ーーーーーーーーーーー
「あ!タピオカ!」
絶対あるとは思ってたけどやっぱりあった!
「お、本当やね!ちょうど今列途切れたみたいだし、せっかくやし買いいこかすずやん!」
「うん!」
とらちゃんのその提案にまた飲んでみたいと思っていた僕は即座に頷くと、列が出来る前にそのタピオカ屋の前へ行き、すぐさま屋台のおじさんに注文する。
「おじさんタピオカ2つ!」
とらちゃんと僕以外は今他の飲み物持ってるしね。
「あいよっ!……ってお嬢ちゃん、龍娘さんじゃねぇか!元気にしてたか?」
えっ誰……ってあっ!もしかして!
「あの時のタピオカ屋さん!?うわーっ!お久しぶりですー!元気にしてましたよー!」
まさかの再開に僕はとらちゃんそっちのけでおじさんの手を持ってぴょんぴょんと飛び跳ねる。
「それは良かった!こっちも龍娘さんのおかげで商売繁盛してるよ!さてタピオカ2つだったね、今回は繁盛してるお礼におじさんの奢りだ!ほら持ってきな!」
「わぁー!ありがとうおじさん!また屋台見つけたら寄るね!」
「おじさんありがとうな!」
「おう!嬢ちゃん達も祭り楽しめよー!」
そうしてなんやかんやでタダでタピオカを貰った僕達はおじさんへ手を振りながら、皆のいる場所へと戻った。
ーーーーーーーーーーー
「お祭りって楽しいね〜♪遊べる所も多くて楽しいし、食べ物もなんか特別な感じで美味しい!」
こき使われるだけじゃないお祭りなんて初めてだぁ〜♪
「祭り屋台の食べ物は雰囲気っていう特別な味付けがあるからなぁ、どんなにちゃちくても美味しく感じるんだよ」
おぉ、なんか隆継がロマンチック的な感じの事を。
「お、隆継もたまにはいいこと言うな」
「そうね、隆継らしくないけど」
「似合わない!」
「たかくんロマンチストやね!」
「うっせぇ!」
あの後も射的やスーパーボール、くじと色々な屋台を回った僕達はそれぞれ買った物を食べたり飲んだりしながら、会場を歩き回っていた。
「さて、あらかた回ったけどまだ花火まで時間あるし……」
「どうする?もう一周する?」
僕はそれでもいいけど。いや、そうしたい。
「んー……それもええんやけど、やっぱり祭りって言ったらアレには行かないとあかんよね!」
アレ?まだ何か行ってないとこって会ったっけ?
首を傾げる僕達の前に1歩でたとらちゃんはくるりとこちらへ振り向くと、次なる目的地の名前を僕達へと言う。
「お化け屋敷、いこか!」
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