第73鱗目:帰り道!龍娘!
「天霧さんお疲れ様」
「天霧さんまた明日ねー」
「うんお疲れ様ーまた明日ー」
夏休みまで残す所後2日となった今日、ショートホームルームも終わり、僕は帰る用意をしつつクラスメイトに手を振って挨拶をして居た。
「鈴ももうすっかりクラスの一員ね」
「せやねー、でもウチはもう一波乱あると睨んどる」
一波乱あるって僕は疫病神かなにかか……
「とらちゃんサラッと酷いこと言うね……さて、皆帰ろー。隆継達もほら」
とらちゃんに頭を撫でられつつ僕は少しさーちゃん達と話をしてから、隆継とむーさんにも手を振って帰ろうと呼び掛ける。
「おーう」「分かった今行く」
2人の返事を聞いて僕は席を立ち上がり、皆と楽しく話をしながらいつも通り一緒に校門付近までやってくる。
「それじゃあすずやんまた明日なー」
「鈴また明日ねー」
「天霧さんまたね」
「んじゃここで、またな」
「うん、またねー」
いつもはここで別れるので、4人な僕に手を振って校門から出ていく。その4人に僕は手を振ってからいつもトラックがある場所へと向かおうとする。
んー…………なにか忘れてるようなー…あっ!
「待った待った待った待ったストーップ!」
「うおおっ!?すずやん頭の上飛びこさんといてや!びっくりするやん!」
「ご、ごめん!」
忘れていた事を思い出した僕は雑談しながら歩いている4人の上をジャンプで飛び越し、空中で一回転して4人の前に着地する。
驚いて1歩後ろに下がった皆を代表してとらちゃんが僕にお叱りをして来たので、僕はまずペコッと頭を下げて謝る。
「それで鈴はアタシ達に用があるんでしょ?何の用?」
「あっ、そうだったそうだった。えっとねー」
僕は改めて言うのが少し気恥ずかしくて手をもじもじとして4人に向かって一言。
「今日は僕も一緒に帰っていい?」
ーーーーーーーーーーー
「まさか今日は鈴香のお迎え無しとはなぁ」
「いつまでも送り迎えされてる訳には行かないしね、それに…………」
「みてみて!」「うわっ、本物だ!」「すげぇ!」「写真撮らせて貰えるかな?」「尻尾動いてる!」
「早い所この街の人に僕が居ることが普通になってもらわないと」
とらちゃんの提案でせっかくだから少し寄り道して帰ろうという事になった僕達は今、おしゃれなお店が立ち並ぶレンガ通りを歩いていた。
学生をターゲットに作られたらしいこの様々なお店の立ち並ぶレンガ通りとその先にある広場だが、勿論普通に沢山人が居るわけで……
僕は落ち着いてショーウィンドウを見て楽しむことすらできてなかった。
せっかく初めて皆で色々楽しめると思ったのになぁ…………ん?
「ねぇねぇ皆、あれなに?」
「「「「あれ?」」」」
僕が横にいた隆継の袖を引っ張りながら指さした先には人の並んでる1軒の露店があり、その露店ののぼり旗には「タピオカミルク」と書いてあった。
「何かと思えばタピオカの露店か」
「流行っとったよなぁあれ」
タピオカって初めて聞いたなぁ、流行ってたってとらちゃん言ってるけどどんなのなんだろう。
「サナ、鈴香の目がめっちゃキラキラしてるんだが……」
「興味津々って感じね。鈴、鈴」
「……はっ!なっ、なにさーちゃん?」
「アタシも一緒に並んであげるから一緒に買いましょう?」
「いいの!?」
さーちゃんの方へくるっと首を向け、僕はさっきまでより目をキラキラさせてさーちゃんへ期待の目を向ける。
「いいわよ、ほら行きましょ」
「うん!」
笑顔で大きく頷くと共に僕はひゅんと尻尾を一振りし、さーちゃんと一緒に列へと並んだ。
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・天霧鈴香その4
鈴香の龍娘としての能力と性能
今の所鈴香の龍娘としての力は水晶の生成と馬鹿力のみ。
水晶の生成は大きさや長さ等であれば、そこまで集中しなくても想像した通りの大きさで作る事が可能。消すこともできる。
ただし、少しでも形を指定するとなると物凄く集中してきちんと完成図をイメージする必要がある。
そして大きくすればする程、精密にすればする程疲れる。
馬鹿力の方だが大型トラックを指一本で軽々と動かしたり持ち上げたりすることが出来る。
お箸を折ることなく持てるようになるくらいまでだいたい1ヶ月半くらいかかったが、これのおかげで力加減をマスターした。
寝ている間も馬鹿力は発動しない。
体の各所に驚異的な耐久性と防御性のある鱗があるが、鱗のない普通の肌はなんら一般人と変わらないので普通に銃弾が貫通したりする。
実は気を失っている間に三浦先生によって1つ刷り込みがされている
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