第46鱗目:仕込まれてた、龍娘!
「おっ、だいぶん仲良くなれたみたいだな」
「はいっ!2人と話してるとすっごく楽しいです!」
僕達がワイワイと盛り上がっている様子を見てそう言った三浦先生に僕は満面の笑みで返事を返す。
すると三浦先生はそれは良かったと言わんばかりに僕の頭を撫でながらひとつ頷いて話し始める。
「それじゃあ今から大事な話を始める。3人とも心して聞くように」
「「「はい」」」
三浦先生はそう言うと端にある柔らかそうな椅子をソファーが無い所へ引っ張ってきてそれに座り、ちー姉ちゃんから資料を貰う。
「とりあえず今日2人を呼んで鈴香が男だったということまで伝えた理由を説明しよう。鈴香は2人がその秘密を知ってるのは知ってるか?」
「はい、さっき聞きました」
「ならばよし、何故2人にその秘密を教えたかと言うとだな……」
そこで三浦先生は言葉を区切り、腕を組み直して僕達を見てくる。僕は普段見る事の無い三浦先生の鋭い雰囲気に思わず翼を動かしてしまう。
「2人には鈴香の学校生活を支えて貰おうと思っているからだ」
「…………なるほど、協力者に逃げられては困るから先に秘密を教えたんですね」
「まぁな、逃げられちゃかなわん」
冷静に分析したさなかちゃんに三浦先生はそう返すと続きを話そうと僕の方を見てきて…………
「はぁ…………鈴香、頼むから落ち着いてくれ、気が抜けちまう」
「えっ!?あっ!すっ、すいません!」
学校と聞いて尻尾やら翼を小さくゆらゆらぱたぱたと動かしてしまっていた僕を見てため息を着き、苦笑いを浮かべていた。
「まぁいい、とりあえず2人なら信頼も置けるし、申し訳ないが協力してもらう。嫌なら降りてもいいぞ?」
「降りませんよ彼女1人じゃ男の子だってボロ出そうですし、なにより面白そうですし」
「そうそう!こんな機会普通なら一生に一度もない機会だからな!降りるわけない!」
意地悪そうにニヤリと笑いながら三浦先生の放った言葉にさなかちゃんはニヤリと笑いながら、隆継はテンション高くそう言い返した。
「ならばよし!それじゃあ2人とも鈴香を頼んだぞ!」
「「はいっ!」」
おーおーおー……僕が割り込める雰囲気じゃないやーつじゃないですかやだー。
でも2人がカバーしてくれるなら心強いし、うん。これは僕からも。
「2人ともよろしくね?」
「任せなさい」
「任せろ!」
2人が心強い返事をしてくれて僕も思わず笑顔になる。そしてここで三浦先生が任せると言っていたのを僕は思い出し……
「…………ん?2人に任せるってことはもしかして?」
「おっ鈴香気が付いたか。その通り、2人と同じ学校に通ってもらう予定だ」
「おぉっ!」
マジか!いや凄く嬉しいけど!
えーっ!なんか今まで以上にすっごい楽しみになってきた!
頭を過ぎった予測通りの事を三浦先生が言い、僕は思わず立ち上がってしまう。しかし三浦先生のびっくり発言はまだここで終わらなかった。
「2人の学校はここから近くにある少し山寄りの場所なんだが、その学校から徒歩15分くらいの少し街から離れた所に鈴香が住める家を建築中だったりもする。ちなみに後1週間くらいで完成するぞ」
根回しというか仕込み凄すぎませんか?三浦先生思ってたよりも遥かに有能な人だった…………驚き。
人は見かけによらぬものとは本当によく言ったものだ…………
もはや驚きすぎて声も僕は出せず、さなかちゃんと隆継も呆気に取られているくらいだった。だが三浦先生の驚かせる発言は更にまだあった。
「それともう1つ、これは柊と花桜にはもう許可は貰ってるんだが…………俺たちも忙しくなるからせっかくだしという事で鈴香の家で3人には一緒に暮らして貰うことになった」
「「「はい?」」」
最後に特大の爆弾を三浦先生がプレゼントしてくれた事で、僕達は暫くポカーンとなってしまった。
その後、少しギャイギャイとなったが最終的によろしくお願いしますという事になり、2人は帰って言った。
こうして僕への初めての来客は無事、終わったのであった。
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