いま、なんて言ったのですか
馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な――
「なんでも言うことを聞いてくれる」はずじゃなかったのか。
これは最先端のPCなのだ。元号すらも変わった。「しんぎゅらりてぃ」やら「でぃーぷらーにんぐ」やらで世界の英知が手に入るのではなかったか。
しばらく考えた末、答えは見つかった。そうか……そういうことだったのか……
プログラムの大原則として、書かれた通りにしか動かないというものがある。(場合によっては創造主にとって想定外の挙動が出たりすることもあるが、それも「書かれた通り」の結果である)
この世に存在するプログラムはすべて、想定された入力をもとに想定された出力を返すことしかしない。少なくとも今のところは。
さて、ここで「想定された入力」とは何かを考える。今回の場合は音声、または入力エリアに書かれた文章ということになる。それを基にコ〇タナは自身のスペックを活かして関連した情報を取得し、返却することになる。
私が求めているのは「小説の文章」なので、「小説を書いて」と命令したわけだ。なるほど、一見、筋が通るだろう。
だが、甘かった。そもそもコ〇タナの創造主が「小説」の定義を教えていなければ、彼女にとってまるっきり謎の物体である。「書いて」というのもおかしな表現だ。なぜなら紙もペンも機械の世界には存在しない。なら「文字をメモ帳に出力して」とでも言うか?
どんな文字(ひらがな、英数字、漢字、記号)を?
どれだけの字数?
どういう構成で?
そもそも、そういった命令を
私がたびたび「小説を書いて」と語るたび、AIアシスタントは戸惑ったことだろう。「この人は何を言っているのだろうか」と。想定されていない文章は皆、エラー値なのだ。「小説を書いて」だろうが「gfsfkjs」だろうが変わらない。
だから聞き取れた通りにBingに投げたというわけだ。なるほど、少なくとも「分からない」よりかは印象は良さそうに見える。
結論――コ〇タナはなんでも言うことを聞くかもしれない。だが、それは適切な形式で、機械語で命令してようやく検証できる代物だ。
無論――私にはそんな知識も狂気も持ち合わせてはいない。
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