『なぞのエラーをおさがしですか?』

「なぞのエラーをおさがしですか?」

「そんなものは探していない」

「なぞのエラーをおさがしですか?」

「探してないと言っているのに」

「エラーを探しているのでしょう」

「……そんなものはない」

「どうしてないとわかるのです?」

「なかったんだ」

「なかった?」

「調べたんだ、でもなかった」

「一度調べただけでなぜないとわかるのです?」

「ないものはない」

「でもほしいのでしょう」

「……」

「あなたはエラーがほしいのだ」

「……」

「この手を取ればそれが得られる」

「……最初からそれが言いたかったのか?」

「さあ? しかし今日からそんな苦しみともお別れだ」

「……そうかもな」「やはり探しておられた」

「……」

「さあ参りましょう。どんなエラーでも授けましょう。つらいのにつらくないエラーをお望みの通り」


 断れなかった。断れるはずもなかった。俺はその蟹に着いて行き、そこからどうなったのかは■■しか知らない。

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