第9話

(ごめんね、三上くん)


「おはよう」


「!?…おはよう」


今日の朝もお互い朝練で同じ電車になった。


「昨日なんかあった?」


「ううん!何もないよ!先急ぐからじゃあね」


「お、おう」





「なあ、たお」


三上くんが名前を言いかけた瞬間、


「ねー奈乃ー、この前の授業のさ…」


(三上くんせっかく話しかけてくれてるのに、こんなの嫌だよ…)


誰にも相談できない。誰かに言えばその人に迷惑かかるし、このままずっと続くのかな。


「優陽?無理してることない?」


「してるしてるしてるしてる、すっごくしてるけど、言わない」


「なんで?言ってくれなきゃ何もできないよ」


「いいの!これは、いいの!」


「わかったよ…」


(きっと、今の関係のほうが三上くんに迷惑かからない。私は嫌だけど、私の気持ちばかり押し付けるのは良くないもんね。)




___休み時間


「三上くん、」


「相川、なに?」


「無理してる、なにか絶対あると思うんだけど…」


「田岡のこと?俺が原因かな…話しかけても遮られるし、今日急ぐからって行って先行くし」


(そんなことするなんて珍しい、優陽らしくない)


「そんなことする子ではないんだけどな」


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