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 翌週の休日。


 キャロルは教会にいた。


 純白の巫女を壁に追い詰めて。


「ちょっちょっと何よ!

 そんな事出来るわけないでしょ!!」


「騒がないで貰えますか。

 …出来る出来ないじゃなくてこっちはやれっつってんですよ。」


 キャロルは脅しにかかっていた。


 巫女の胸倉を既に掴んでいる。


 不穏な事この上ない。


「別にあんたが何かするわけじゃないんです。

 魔力を発動するのも陣を書くのも私。

 ただあんたはちょっと立っててくれたら良いんですよ。

 簡単な話じゃないですか。」


「絶対違うわ!

 あんたのその顔絶対何か危険な事考えてる顔だもん!

 そもそも何をするか言わない時点でやばい事しますって言ってるようなもんじゃない!」


 キャロルは小さく舌打ちをした。


 無駄に勘が鋭い。


「…あっ聞くの忘れてた。

 あんた未来や過去が見えるんですよね?」


「…まあそうね。

 かなり断片的だし見たい物が見えるわけではないけど。」


「なら大丈夫です。

 安心して協力して下さい。」


「だからまず何をするのか言えっつーの!」


 キャロルは純白の巫女の目を睨み付ける。


 中々強情な奴だ。


「…聞いた事を他言しないと誓えます?

 破ったら地の果てまででも追いかけて息の根を止めても良いですか?」


「まじで何しようとしてやがるのよ!?」


「誓えるか誓えないのかまずは言って貰えますか?

 誓えるなら話しますし誓えないなら無理矢理協力して貰います。」


「あんた人権って言葉知ってる?!」


「人権なんか構ってる場合じゃないんだっての。

 さっさと協力するか協力してから死ぬか選べ。」


「あんた病気よ!?

 本気で1回牢屋にぶち込まれた方がいいわよ!?」


「…牢屋で済めば御の字ですけどね。」


「聞き捨てならんわ!

 嫌よ処刑台とか!」


「断るなら私が直々に首と胴体切り離してあげますよ。」


「あんたが言うとシャレになってないのよ!」


「シャレじゃないですからね。」


「黙れサイコパス!」

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