26
「…で、初日から全身筋肉痛なのか。」
「…馬には乗れるようになったから良いんです。」
レオンに肩を震わせながら聞かれキャロルは目を逸らした。
身体中色々な所が痛い。
何故背中まで痛いんだろう。
買い物を終え宿の食堂に集まったはいいがキャロルは疲労困憊であった。
「…まあキャロさんには馬もデカいし乗り降りだけで大変だろうな。」
お疲れ様とリアムに渡された麦酒を煽る。
…腹筋も痛むようだ。
「後で湿布貼ろうね?
でも良かったよ。
乗れる様になって。」
ルシウスはぷるぷる震える手でフォークを握るキャロルに笑いかける。
「…次は馬以外の移動手段に使える魔道具を開発します。」
「えっまじで?
それ俺も欲しい!
面白そう!」
自分はこんなにも切実なのに何故こいつは面白がっているのだろう。
まだ13歳。
140cmと小柄なキャロルはまず馬が大きすぎてよじ登るように乗るしかなく。
それを見ている馬に横目で明らかに馬鹿にされ。
よじ登ったものの足をほぼ180度に開かねばならず股が裂けるとぷるぷるしているにも関わらず、スタートの合図だから横腹を蹴れと言われ。
蹴ろうにも足を動かそうものなら股裂けるわ!と言いたかった。
ぷるぷるしていて言う余裕もなかったが。
そんなキャロルを馬が小馬鹿にして鼻を鳴らしていた。
実に腹の立つ馬であった。
「今日はもう明日に備えて早めに休もう?
明日はほぼ馬に乗りっぱなしになるしね。」
「…分かりました。」
1時間せず全身筋肉痛なのに明日はどうなってしまうのだろう。
やっぱり最初の森林大火災作戦にするべきだったのだ。
あれならきっと馬なんかに乗らずに済んだはずなのに。
キャロルはそんな事を考えながら麦酒を流し込む。
ルシウスに手を引かれ生まれたての子馬の様な足で階段を登りベッドに辿り着くとそのまま倒れ込んだ。
「キャロ?
上着は脱がなきゃダメだよ?」
ルシウスが遠くで何やら言っているがもう目が開かない。
塔で引きこもり生活を謳歌していたキャロルは思った以上に疲れていたらしい。
静流の遺跡に行く前に体力作りをしておくのも悪くないかもしれない。
そんな事を考えながら眠りに引き摺り込まれたのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます