27
「…なんでこうなってんだろ。」
目を開けると見慣れない真っ白なシーツ。
寝ぼけながらも今日は塔じゃないんだと気が付き起き上がる。
横が何となく暖かくて目をやると天使が寝ていた。
いや昨日天使の皮を被った魔王と発覚した人間が寝ていた。
キャロルは寝るまでの事を一生懸命思い出すが何故こんな事になっているのかさっぱり思い当たる節がない。
眠る直前上着を脱げ的な事を言われた気はするが一緒に眠る理由にはならないだろう。
…まさか13歳にして王太子ともあろう人間が夜這いをしかけたのだろうか。
魔王であり強姦魔がこの国の次期最高権力者とは恐ろしい事である。
こいつが王座を手にする前にクーデターでも起こすべきだろう。
いや、むしろまさにこの格好のチャンスを逃さず息の根を止めるべきか。
「おはようキャロ。」
キャロルが殺害方法を考えているうちに目を覚ましてしまったらしい。
目の前の男はまだ覚醒していないのか若干ぼんやりしている。
「…おはようございます。」
「ねえキャロ、息の根を止めるとか強姦魔とか聞こえたんだけど…誰の事だい?」
「…何のことでしょう。
寝惚けてるんですか?」
しれっと無視するが朝から無駄にキラキラした笑顔を振り撒いてくる。
むしろキラキラしすぎている。
キラキラしているのに威圧感が凄い。
「昨日夜中に君が魘されてたから見に来て一緒に寝てしまっただけだよ。」
「…そうですか。」
ベッドで寝たせいで深く眠ってしまったのだろう。
またあの夢を見てしまっていたらしい。
「…何の夢を見ていたの?」
「さぁ?
全く覚えてません。」
そう返すキャロルをルシウスが見つめてくるが黙っていると諦めたように微笑んだ。
「…まぁいいよ。
ほら、朝ご飯食べに降りよっか。」
そう言って立ち上がるルシウスの背中を見詰めてキャロルは詰めていた息をふっと吐いたのだった。
「うお!
いい天気だなキャロ!
冒険の出発にはピッタリだ!」
朝からテンションが天井を突破しているレオンが馬に荷物を乗せながら騒いでいる。
反対に低血圧なのかテンションが地中にめり込んでいるリアムは煩そうに眉間に皺を寄せていた。
「…レオンさん元気ですね。」
「だって冒険と言えば男のロマンだからな!
そう言えばキャロは筋肉痛治ったのか?」
「…聞かないで下さい。」
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