だれ??

@negerobom

kage.hisom

 いつものように夜道を歩いていると、同じくいつものように君が現れる。そしてやはりいつもと変わらず美しいものだった。

 決して話しかけたりはしない、干渉しようとはしないけれど、観賞くらいは許してほしいと切に願う。どうかその場から逃げないで、消えないで欲しかった。

 君の姿はいつも影のように暗いシルエットに見える。だからといってこれ以上近付くと君が見えなくなるので、この距離感をいつも保っているのだった。横顔が美しい。立ち姿さえ綺麗だ。着ている服を含めた君のシルエットは何処を見ても美しいのだ。まるで人間じゃないみたいに、あるいは人間の頂点に立つ存在だと思わせる。たかが人間の僕はもっと近付きたいと自然に思うのだけれど、やはりこれ以上近付くとシルエットがぼやけて見えなくなる。そして高潔な君を汚してしまうと思って、やはりこの位置で足を止め、立ち尽くすのだった。

 近くて遠いそれが、あってないような君の存在が一体何なのか分からないけれど、ただ美しいからという理由だけで、今日も見つめてしまうのだった。

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