3rd Game

次の扉の先は、薄暗い空間だった。


『3rdゲームにようこそ』

「それで、わたしはいったいどうすればいいの?」

『キミはただそこでじっとしていればいいよ。この空間に耐えきれたらキミの勝利さ』


ここでじっとしていればいい?

耐えきれたらって一体何に耐えればいいんだろう?

それに天の声に逆らったところでこの段階では私は何も出来ないだろうから、言う通りにすることにした。


『今から見せるのは断片的な雅楽様…御神楽慧架の記憶』


天の声はそういい、私は何かに引っ張られるような感覚に襲われた。


「うわっ?!」


必死に足掻いたけど引っ張る何かの力は凄かった。

私はなすがままに流れていくことになる。







私が目を覚ますと、狭くてくらい和室の中にいた。

灯りはロウソクの火程度しかない。

そして誰かがすすり泣く声が聞こえた。

この感じからすると子供…かな?

こんなくらいところにいるんだもの、怖いに決まっている。


「うっ…ぐすっ…」


すすり泣く声の正体を私は見つける。

その子供は華やかな和服を着ていた。

大丈夫かと話しかけるが、反応はない。

ああ、そういえば…これは断片的な記憶の映像ってさっき言ってたな。

って言うことは、この子は御神楽さん?!

俯いてた幼い御神楽さんは顔を上げた。

あっ、可愛い。

いや、綺麗って言った方が正しいかな?

御神楽さんの面影がある。

あの人小さい頃からこんなに美しかったんだなぁ…。

って見蕩れてる場合じゃない!

なんで幼い御神楽さんは泣いていたんだろう?

私は様子を見ることにした。

しばらくすると襖が開く。

そこから現れた人は男性だった。

どこか御神楽さんと似ているような…?

お父さんかな?なんて呑気なことを考えているとその男性は幼い御神楽さんを思い切り殴った。


「えっ?!なんでそんな酷いことするの!」


私は止めようとするがそれがまるで無意味と言っているかのように私の体はすり抜けていった。

幼い御神楽さんは「痛い!父さん、やめて!」と悲痛な叫びを上げるだけだった。

そのあとの光景は見るに耐えないものだった。

しばらくすると御神楽さんの父親は部屋から出ていった。

そこにいるのはまた泣いている御神楽さん。


「…大丈夫?」


今度は女性の声が聞こえてきた。

お母さんだろうか?


「…


えっ?なんで御神楽さん、今自分の名前を言ったんだろう?

そして御神楽さんは必死に泣くのをやめようとする。


「入るわね」


と女性は部屋に入ってくる。


「けいか…」


と御神楽さんは安心した顔をする。

そしてまたこの女性に対して自分の名前を言う。

もしかして同じ名前なのかな?

名前呼びをするってことは…この女性はお母さんではないということか…。

親戚の人かなにかかな?

この状況じゃあまりよく分からないけど、御神楽さんが信用してる人だということはわかった。

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