夏休みのはじまり、ちょっと前。
それから数週間が経って一学期の終業式。
終業式のおかげか、学校は早く終わる。
あの連絡の後、御神楽さんに個人的に連絡を取ってみたが、一向に返事がなかった。
優紗や穂村さんにも御神楽さんと連絡を取れたか聞いてみたけれど、返事がなかったそうだ。
そう聞くと、心配になってきてしまう。
ホロウさんにも聞いてみたが、空返事のようなことしか返ってこなかったと言われた。
ほんとうにあの人大丈夫なのかな…?
「はぁ~…。あっ…!」
思わず私はため息をついてしまった。
今、友達と夏休みの予定をどうするか決めようって話をしていたのに…!!
「珍しいね、叶波がため息つくなんて」
とちーなが私のことを気に掛ける。
「あっ!?えっ!?今私ため息してた?」
と紛らわせていない無理くりな嘘をついた。
「ね、寝不足なんだよね~、きっと!」
「きっとって言われても…。私、叶波が何時間睡眠してるのかなんてわかんないよ?奈々子ならわかるかもしれないけどさ」
とはっちゃん。
ちなみにはっちゃんはここ数週間、地獄のコンクールラッシュを終えたばかりである。
こんな清々しい顔してるのを始めてみた気がする。
「いや、いくら幼馴染だって言ってもさすがに睡眠時間までは知らないから」
とちーなは冷静にはっちゃんにツッコミを入れる。
「私も、ちーなが私の睡眠時間知ってたら知ってたでめっちゃドン引きするところだったよ?」
「あんたの心配してんのに…。叶波最近、暗い顔してること多いよ?本当に何にもないの?何聞いても『なんでもないよ』しか言わないじゃん?」
とちーなは私の心配をしてくれた。
本当はなんでもなくなんてない。
でも、そう言うしかないじゃん。
「心配してくれてありがとう。でも本当に何でもないから、そこは安心してほしいな」
「うーん…。あんた変に意地っ張りなところあるから今回は引くけど…。本当に困ったとき、頼ってよ?」
「そうそう!私は奈々子よりも付き合い短いけど…頼ってくれると嬉しいな」
ちーなとはっちゃんのその言葉に私は涙が出そうになる。
でも私はその涙をぐっと堪えた。
そして私はありがとうと、二人に言った。
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