プライド

 御神楽さんのマイルームから離れた後、また別の人からメッセージが来ていたことに気付く。

 相手は穂村さんからだ。


『すみません!返信遅くなりました!』


 しばらくすると穂村さんの方からまた連絡が来る。


『いや、大丈夫だ。今朝、グループチャットで御神楽からメッセージが来てなかったか?返信しようとしたらすぐ消されちまってよ…。一番に答えてたのたぶん、清本だろ?なんかあったのかと思ってこうやって連絡したんだが…』


 その返信をみて私はドキッとした。

 穂村さん、勘がよさそうだから下手に嘘つくと気づかれそうな気がする。

 そしてなによりも嘘をつくという罪悪感に私が苛まれそうで…。

 でも御神楽さんはまだ誰にも話さないでほしいって言っていたし…。

 ああ、どうすれば!?

 特に何もなかったと私が送ろうと思ったら、ちょうどいいタイミングでグループチャットで御神楽さんがメッセージを送る。


『やっほーみんな。今朝のやつね、どうやら寝ぼけて送っちゃったぽいから特に気にしないでいいよ~。見られるの恥ずかしいから急いで消しちゃった☆』


 とやたらめったら明るいメッセージが送られてきた。

 御神楽さんも穂村さんあたりが勘づいてしまうと思ったのか、私が帰って来たあとこうやって送ってきたのだろう。


『…お前、恥ずかしいとかそう言う感情あったんだな』

『ちょっとなにそれ?失礼過ぎない?ねえ、叶波?』


 と私に話を振る御神楽さんに私は滅茶苦茶動揺する。


『えぁっ!?ほあう!』


 動揺した挙句、誤字をしたメッセージをグループチャットで送ってしまった。


『あっ!?誤字りました!すみません!』

『動揺しすぎw』

『ちょっと御神楽さん?あまり叶波をからかわないでくださいます?』


 とここで優紗もチャットに参加した。


『やっほー優紗』


 と御神楽さんは優紗に挨拶をする。

 優紗もメッセージでどうもと返す。


『今朝のことはわたくしも気になっていましたわ。…本当に何にもないのですね?』


 どうやら今朝のを優紗も見ていたようだ。

 嘘ではないのか、優紗は御神楽さんに問いかける。


『まあ、謝りたいことはあるんだよね。こんな場で言うのはちょっと失礼かもしれないけど』

『なんだよ?謝りたいことって?』

『今までランキングマッチで手を抜いてました。ゴメンなさい』


 あっ…さっきのことだ。

 ちゃんと自分で言うって言っていたもんね。

 御神楽さんのそのメッセージにグループチャットは少しシーンっとなった。

 が、すぐに優紗と穂村さんはメッセージを送る。


『そんなこったろうと思ったぜ』

『ええ。そのようなこと、最初から気づいていましたわ』

『え?』

『え?』


 私も…たぶん御神楽さんも相当怒られるのではないかと予想をしていた。

 だけど、思ったよりも二人とも冷静だった。


『それで?なんで手を抜いてた?』

『…えっと、それはぼくの適正の属性が全部だから。ぼくが炎や草木の属性使ったら二人のプライド傷つけるかと思って…』

『そのようなことでわたくしのプライドは傷つきませんわ。あまり甘く見ないでくださる?』

『それにおれらよりもその属性使い慣れてないだろ?だったら俺はまだ最強の炎使いだ』

『わたくしもですわ』

『そっか…そう、なんだね』

『なんかしおらしい御神楽って珍しいな』

『そうですわね。しかし、話してくださりありがとうございます』

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