作戦会議

 目を開けるとそこはいつもの『あの部屋』だった。

 3人ともそろっている。

 どうやらまた、私が最後のようだ。

 あれ?なんかみんなやたら私の頭の上に視線を移しているような…?

 きょとんとした表情もしている。

 なんで?っと思い、聞こうとしたら御神楽さんがくすくすと小さく笑っていた。


「叶波、その亀なに?」

「か…め…?まさか!?」


 ちゃんとマイルームにいてって言ったのに!?

 頭の上を確認してみると、やっぱりモコがいた。


「モコ!?」

「あらあら…寂しくてついてきたのでしょうか?」


 優紗は「先程ぶりですね」といってモコの頭をなでる。

 モコは嬉しそうな顔をした。


「その子、いつから飼い始めたの?」


 と御神楽さんは私に聞く。


「えっと…今日です」

「今日?それにしては凄くなついてるね」


 と御神楽さんがモコに触れようとするとモコはむっと顔をしかめた後、かぷっと御神楽さんの指にかみついた。

 御神楽さんはさすがに少し驚いた顔をした。

 そんな光景を見て穂村さんはブッと吹いていた。


「モコ!?ダメでしょ!噛んだりしちゃ!」


 私がそう言うとモコはしゅんとする。

 ああ、罪悪感…。


「ああ、怒んなくて大丈夫だよ。びっくりしたけど、痛くはなかった。なんでかな、ぼくあんまり動物になつかれたりしないんだよね」


 少し悲しそうな顔で御神楽さんは言う。


「胡散臭いのを見抜いてんじゃねえのか?」


 と穂村さんは笑いをこらえながら言う。

 この前のこともあって気負いしているのかなっと思ってたけど、情緒は不安定じゃなさそうなのでそこはほっとした。


「穂村さん、それはいくらなんでも失礼なのでは?」


 と優紗は穂村さんにそう言う。

 さすがに穂村さんもちょっと言い過ぎたかもと思い、「すまない」という。


「…盛り上がってるところ悪いけど、ここにいるからには少しは気を引き締めてくれる?」


 というホロウさんの声に私たちははっとなる。

 でもホロウさんもモコに触れた。

 モコは特に噛みつくこともなかった。

 やっぱり御神楽さんが異様に動物に嫌われやすい体質なのであろうか?


「ふーん…そういうことか…。その『綿草亀』が御神楽慧架にかみついたのは『稲荷・雅』の過激なファンであるプレイヤーがその子の仲間を必要以上に痛めつけてたからよ。御神楽慧架から狐の雰囲気を察して噛みついちゃったのかもね」


 とホロウさんは言う。

 それを聞いて御神楽さんは少しショックを受けていた。


「それでか…。っていうかなんでそんなのわかるの?」

「私やこの『綿草亀』は同じプログラムされたものだから…ちょっとこの子のデータを覗かせてもらったわ」


 先程のことを聞いて御神楽さんは少し考えこむ。


「ぼくも、なにかしら注意した方がいいかもね流石に…」

「今までお前、放置しすぎだったんだよ」

「大きな影響をもたらすものの代償かもしれないわね。落ち込んでるところ申し訳ないけど話を変えさせてもらうわ。私がみんなをここに呼んだ理由よ」


 ホロウさんがそう言うと私たちはうなずいた。


「調査は今のところ順調よ。場所もだいぶ絞れた」


 とホロウさんが言うと穂村さんがそれに食いつく。


「本当か!?じゃあ今すぐ…あっ…」


 と穂村さんは私たちを見る。

 きっと私たちの予定のこととか気にしてるんだと思う。


「絞れたというだけでまだ確定ではないのよ。あと…調査候補があるんだけど、そこのサーバー、少し特殊でね」

「えっとそれってどう特殊なんですか?」


 私はそう訪ねる。


「そこの古いサーバー、現れるのはなぜか昼の間だけなの。昼間となると潜入はかなり厳しいものになるわ。しかも、今回のところは廃校じゃない管理されている場所。さらに潜入は厳しくなるわね…。だからその場所の調査はもうちょっと先になりそうなの」

「ほぁ~…」


 私の頭じゃいい案が浮かびそうにないので、間抜けな声しか出なかった。

 

「だからね、次に行ってもらおうと思っているところがあるの。もちろん今すぐではないわ、そこは安心して」


 前回のからあまり時間も経っていないだろうし、心身ともに回復してほしいとホロウさんは言っていた。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る