自分のアバター

 というわけでさっそく私は水に関する妖精について調べてみることにした。

 調べていくとやはりというべきか、水=魚をモチーフにしたものが多いのだなと私は思った。

 半魚人…はなんかモンスターっぽくてかわいくない、だから却下(半魚人選んだ人ごめんなさい)。

 人魚はメジャーなのか男女問わず多い。

 …肌の露出が多いな。

 アバターだからなのかもしれないけど、仮にあの不思議な空間で自分自身のアバターを装備するとなったら私はちょっと恥ずかしい。

 …でも戦いの場となるとそうこう言ってられないよね。

 と考えているとちーなから準備が完了したというメッセージが来た。

 だから私は待ち合わせ場所であるいつもの広場へ行くことにした。


「ごめんね叶波、待たせちゃった!」

「大丈夫だよ、そんなに待ってない。この後何するの?」

「どうしてもゲットしたい素材がってさ、付き合ってほしかったの」

「わかったよ。どこに行くの?」


 私はちーなの目的の場所を聞く。

 ちーなは『そよ風の森』へ行きたいと言った。

 私はそれを了解し、『そよ風の森』へ向かうことに。

『そよ風の森』は風属性と大地…とくに草木属性のモンスター、素材が多い場所だ。


「私ね、この草を探してるの」


 とちーなが画像を私に見せる。

 映っているのはなんだこれ?タンポポ…?


「私にはタンポポの綿毛みたいに見えるんだけど…?」

「ただのタンポポじゃないんだなぁこれが!これね、『綿草亀コットンプラントタートル』っていう魔獣の背中に生えてる草なんだけど、生息地自体はここなのに水気のある所にしか現れないらしいのよ。でもここ、そんな水気のあるばしょとかないじゃん?だから、叶波に手伝ってほしくて。そしたら格段に出現率は上がると思うのよ!」

「なるほど、私を利用したいと」

「言い方!利用しようとしてるんじゃなくて頼りにしてるってことよ!」

「ごめんね、そうだよね。私、できる限りのことやってみるね」

「頼りにしてるわよ、叶波!」


 水気のないところにしか現れない、かぁ…。

 でもそれって一体どうすればいいのだろうか?

 『水泡バブル』単体でやるにはたぶん、威力も効果も薄いだろうし…。

 となると『アクアバルーン』とかがいいのかな?

 物は試しだ、やってみよう。


「『アクアバルーン』!」


 私は『アクアバルーン』を発動させる。

 そしてそれはぷかぁ~っと宙に浮いたと思ったらぼよんと地面にはねる。

 一応、それだけじゃ不安だったので『水泡』も繰り出しておいた。

 『綿草亀』、少しでも水気を感じてくれるといいんだけど。


「なんかあんた、この前一緒にやった時よりも技の威力上がってない?見たことのない技も使えるようになったみたいだし…」


 とちーなが言うので私はドキッとする。


「えっ!?ああ!ドはまりしちゃってね!暇なときに自分でもやってたんだ!だからかも」


 と無理矢理理由を考えて言う。

 

「そうなの?なんだ、だったら私も誘ってよ~!抜け駆けは許さないからね~!?」


 とちーなは残念そうな顔していった。


「ごめんね、ちーな。こんどはちゃんと誘うからさ!」


私の技を使い10分ほど待ってみたが、『綿草亀コットンプラントタートル』は現れる気配がなかった。


「『綿草亀』、なかなか来ないね…」


 と私が言うとちーなは…。


「まあ、出現率低いらしいからね…」


 と言った。


「そういえばさ、なんで『綿草亀』を探してるの?」

「私さ、自分のアバターのモチーフずっと探してるんだよね。んで、ようやくこれだ!っていうの見つけたの。それで、一番イメージに近づけるものの素材ほとんどそろったんだけど、『綿草亀』の甲羅に生えてる綿草だけがどうしても見つからなくてね…」


 なるほどねぇ…。

 調べてみたけど、『綿草亀』の甲羅草は流通しているところがあまりないみたい。

 あるっちゃあるんだけど、結構高い値段で転売されている。

 私たちの手持ちじゃ買えそうにない。

 …いつの時代も転売ヤーというものは嫌なものだ。


「そうだね、買うよりは自分たちで探したほうがよっぽど特だね。これ…」

「でしょ?ほんっと嫌よね転売ヤー」


 転売ヤーの話で逸れちゃったけど、ちーなも自分のアバターのモチーフ決めたんだ。

 なんだかちょっと焦りを感じる。

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