お笑い!!quiz王

紫 李鳥

1 大阪編

 



「えー、いよいよ始まりました、【お笑い!!quiz王】。1問正解するごとに、1万円。全問正解しますと、なんと、賞金10万円です。

 このクイズ番組は、わたくしの独断と偏見でテキパキと進行します。余計なことを言ったり、しゃくにさわることを言ったりしますと、失格になりますでご注意ください。

 制限時間やヒントなども、わたくしの気分次第で、あったりなかったりしますので、ご了承ください。

 わたくし、司会進行を務めさせて頂きます、渡辺ヒロミと申します。よろしくお願いします」


 パチパチ……(見物人の拍手)


「日本中、あっちこっちに行きますので、面倒臭い予選などは一切ありません。人通りの多い街角をチョイスしたら、即、クイズを開始します。その辺の通行人が飛び入り参加の番組ですので、どんなハプニングが起こるか予想がつきません。

 参加者が居ない時は、番組スタッフが解答者になりますで、ご安心ください。

 さて、どんな珍解答が出るか楽しみですね。

 記念すべき、1回目のチャレンジャーは、先ほど決まりました。えーと、暇してる人の同好会、〔飲み屋街をぶらつこうでの会〕の代表で、南のほうが飲み代が安いと言うことで、わざわざ北から飲みにやって来たと言う、匿名希望の日増照蔵ヒマシテルゾウさん、自称、20代とおっしゃる、おちゃめな60代のおっさんです」


 ハッハッハ……(見物人の笑い)


「日増さん、飲み代を稼げるといいですね」


「なんや、匿名希望も、自称20代も、ちっとも反映されてないやないか」


「ごちゃごちゃ言いますと、失格になりますので、ご注意ください。では、始めましょう。


 第1問です。『ひまわり』で知られる、印象派の画家は?」






「ゴッホン!」


「ブー! 残念! ンが余計でした」


「あ~、ちょっと待ってや。今のはタンがからんだだけやがな」


「余計なことを言うと失格になりますよ。


 第2問。モリエールの戯曲は、何ぎらい?」






「食わず!」


「ブー! 残念! 『人間嫌い』でした。


 第3問。ルート4はいくつ?」






「……ルートって、なんやねん? もっと簡単な問題にしてや。ちっとも分からんやんけ」


「ブー! 残念! 2です。解答者は答えるだけにしてください。


 第4問。バルザックの小説、谷間の何?」






「オッパイ! あっ、ちゃう。胸の谷間と間違ごうてもうた」


 アハハハ……(見物人の笑い)


「ブー! 残念! 勘違いしたようですね。ユリでした。では、


 第5問。トルストイの小説、戦争と何?」






「戦争となんやったかな。えーと……。あっ! 思い出した。は、や。屁は」


「ブー! 惜しい! 屁は。ではなく、平和です。どうも、聞き間違えて覚えていたようですね。


 えー、ここで中間発表です。正解数は、……ゲッ! 5問中、0問です。最低やんけ」


 ハハハ……(見物人の笑い)


「大きい声で言わんときや、みんな笑っとるやないか。恥ずかしいわ、ほんま」


「仕方ありませんね。では、サービス問題を差し上げましょう」


「ほんまでっか?」


「第6問。鈴木、佐藤、高橋の中で、一番多い名字は?」






「絶対、田中や! 知り合いに5人もおるもん。田中や、田中!」


「ブー! 残念! 佐藤でした。田中は、問題に含まれていません。折角のチャンスを活かせませんでしたね」


「くぅぅ、早とちりしてもうた」


「可哀想なので、では、もう1問、簡単なのをサービスしちゃいましょう。


 第7問です。道後温泉を舞台にした、夏目漱石の作品と言えば?」






「えーと、チャッポンやったかな? ポッチャンやったかな?」


「どっち?」


「じゃ、ポッチャン!」


「ブー! 惜しい! 『坊っちゃん』でした」


「ポッチャンやのうて、ボッチャンか……。惜しかったな」


「第8問。フランスの文豪エミール・ゾラが1877年に書いた自然主義の小説と言えば? 日増さんが好きな場所ですよ」






「キャバクラ!」


「ブー! 残念! 『居酒屋』でした」


「好きなとこって聞くからやんけ。一番はキャバクラやで」


「第9問。あ、これは簡単でしょう。サザンカを漢字にすると、どんな飲み物がつく?」






「そやな。今、飲みたいのんは生ビールやけど、第三のビールにでもしとこか」


 プップー!


「エッ! 第三のビールでおうてんの?」


「ブー! 残念! 茶でした。日増さん、今のはクラクションの音です。正解した時の音じゃありません。ちなみに、正解した時の音は、ピンポ~ン♪です。間違わないように」


「いつもの、ブー! とちゃうから、てっきり正解かと」


「街角で収録してますので、クラクションやパトカーのサイレンなども紛れ込みます。あしからず。

 さて、いよいよ、最終問題です。日増さんには、せめて1問だけでも正解して頂きたいので、誰もが知ってる超簡単な問題をサービスしましょう。


 第10問。早口言葉。ウラニワニハニワニワニハニワ、さて、何がいるでしょうか?」






「ニワニワニワニワニワニワニ……ワニ!」


「ブー! 残念! ニワトリでした。えー、記念すべき第1回は、全問不正解でしたので、10万円は、次回の賞金にプラスされます。では、次回をお楽しみに!」


 パチパチ……(見物人の拍手)


 ピンポ~ン♪


「あ、日増さん、もう終わりましたので、ボタンには触らないでください。これは正解した時に、私が押すボタンですから。プッ」


「押しとらんわ。手が触れただけや」


「これ、参加賞のポケットティッシュです。ありがとうございました。プッ」


「なんや、恥かいただけやがな。参加するんやなかったで、ほんま。ま、ポケットティッシュもろたから、よしとするわ。これを話題にして、サクラちゃんの店で愚痴ったろ。ほな、さいなら!」






―OK!―

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