第50話 ANZAI

翌日の午前9時10分頃。

僕はいま、涙目になっている。



にーちゃん例のゾンビの死体だが、やはり背負う気には到底慣れず。かと言って足首掴んで階段下りれば、せっかく綺麗に清掃した階段が血や臓物で汚れることになるだろう。

それで僕は、ピンと思いついた。


「ベランダから落とせば楽なんじゃね?」


早速、ひいこらとにーちゃんゾンビをなんとか持ち上げ、ベランダの柵を越えさせて地面に落とす。

その結果……


グシャァ!!


にーちゃんゾンビは見事に頭から地面に落ち、アスファルトに汚い花火を咲かせることになった。


僕は不快さを遠ざけようとして、更に不快な状況を作ってしまったということである。

そりゃ、泣きたくもなるさ。


「おえぇぇぇぇ」


そしていま、吐き気を抑えながら後始末をしているというワケ。

マンションのすぐ外にスプラッタな死体がいつまでもあるのは気分悪いし、ましてや303号室の真下がこのマンションの玄関なのだ。放置すれば、外出の度に死体とご対面しなければならなくなる。

以前も言った通り、文字通り誰も頼れないいま、僕がかたずけなければ死体はずっとこのまま……いや、腐敗していくからもっと凄惨なモノを見る羽目になるのだろうから。


……ええ。

「こうなるに決まってんじゃん」って誰でも思うと思うよ。

いまなら我ながらそう思うわ。


アレだな。

子供の頃、窓ガラスに大きなスズメ蜂がとまっていることに気付いてパニくった僕は、少年誌を投げつけて窓ガラスを割ってしまったことがあるのだが。

その時も思ったよ。

「こうなるに決まってんじゃん」って。



「まるで成長していない……」


気付けば僕は、その少年紙に連載されていた、某バスケ漫画の先生のセリフを呟いていたのだった。



【作者より】

 ここで第一章は終わりになります。如何でしたでしょうか。

 最近のトレンドではないジャンルなのか(作者がショボいのか)、

なかなか苦戦しています(笑

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