第39話 感染したらスライムになった件
シャワーを浴び、念入りに全身を洗った。
死体を触った手で頭や顔を洗うのには抵抗があったが・・・・・・まあ、アレだ。茶々丸のトイレ掃除の直後とか自分の性器とかを洗った直後に顔を洗うのはちょっと、の強化版みたいな感覚だな。
しかしながら、背に腹は代えられないからな。
ゴシゴシといつもより気合を入れて洗う。
シャンプーやボディソープのストックも今度手に入れなきゃ。
てか、そのあたりの使用期限ってどんなもんなんだろ?
ユニットバスから出て体を拭き、そして髪を乾かした。
あれだけ念入りに体中を洗ったのに、まだ何か臭いが残ってる気がする。
気のせいなのか実際に体とか髪に沁みついてしまってるのかは判断できないが、何にせよ期待していた程シャワーの効果が無くて少々ガッカリした。
しかし、強烈な体験だった。
人生においてスプラッタな死体を片付ける羽目になることが発生するなんて思いもよらなかった。
昨日山田さんと電話した際に、昏睡状態の感染者は近い将来死んでしまうだろうから遺体の処理が大変だなんて話は出てたけど、まさかこんなに早く実現してしまうとは。
しかもスプラッタ状態という十分すぎるオマケ付きで。
なんと言うか……今後は、相当な状態の遺体の相手でない限り、大丈夫な気がするぞ。腐ってドロドロのスライム状態とかは流石に勘弁して欲しいところだが。
……そうだよ。
今後のほうが、更に大変なことになるんじゃないか?
せめて自分のマンション内くらいは、感染者がいないか確認しないと。
放置して亡くなって、気付けばそこら中にドロドロの遺体だらけでした、とか勘弁して欲しいしな。
亡くなってるなら遺体を運び出さなきゃいけないし、昏睡してるなら動き出した場合を考えて拘束しておかないと。
……いやまてよ。感染者は昏睡したまま衰弱死するかゾンビになるかだから、どっちにしても彼らは死ぬしか道が無いのでは?
医者であり仲間もいる山田さんでも匙を投げる程の感染者数である。
僕なんかがどうにかしようと思っても何ともならないだろうし、もっと言えば例え対象が1人だったとしてもどう手を着けたらいいか全く想像すらできない。
いやはや、改めて集団社会というものの有難みが身に沁みる。
「人は独りでは生きられない」って陳腐に使い回されたセリフだと思ってたけど、本当にその通りなんだと思える。
……まてよ。
僕、いま完全に独りなんだけど、生きていくことはできるのだろうか。
めちゃ不安になってきた。
このまま死んだら誰にも発見してもらえないかもとかインフルエンザで寝込んだ時も思ったが、現在の状況はそれどころではない。
死んだらどころか、何かあったら誰も助けてくれない状況なのだ。
本当に、文字通り誰もいないからな。
これは、早い段階で他の生存者(健常者?)と合流しなければならないかも。
でもな、問題があるんだわ。
「お前だよ」
「にゃーん!」
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