第40話 親のこころ子知らず
茶々丸が目を輝かせ、待ってましたとばかりに声を張り上げて近寄ってくる。
しまった。
藪蛇だったかもしれない。
別にオマエをかまう為に声をかけた訳ではないのだよ。
確かに昨日今日は遊んでやる時間が無かったからウズウズしてるのは分かるけど……って、痛い痛いって!
……アカン。
こうなった茶々丸は、ある程度遊んでやらないと収まらない。
よくあるのだが、例えば僕がゲームとかネットサーフィンに熱中してる時はあまり構ってもらえないことを茶々丸は知っているので大人しく寝てる時が多いのだが、思わず独り言を発した途端、「なになに呼んだ? いま呼んだでしょ?」とばかり覚醒するときがあるのだ。
しかも今回は、しっかり茶々を見て言葉を発してしまった。
茶々丸の
……フッ。
望むところである。
テンションが高ければ高い時ほど、一気に攻め落とす。
これでもくらえ!……とばかりに、僕は茶々丸のお気に入りのオモチャを手に取る。
そのおもちゃとは……ただの割ってない割り箸であった。
ああ、いったい今までどれくらいのお金をかけて猫のオモチャを買ったことだろうか。
電池で動く本格的なものもいくつか買ったな。
中には5,000円近いものもあった。
すぐ飽きられて燃えないゴミと化したが。
ねこじゃらし的な基本的ものの方が食いつきは良いのだが、それでも数分で飽きてしまって他にナニかやれーってなる。
安い故に壊れやすいから意外とお金もかかるしな。
こんな感じで、茶々丸のストレス解消と僕の安眠の為に長年試行錯誤と四苦八苦してきた訳であるが、ある日突然ソレが終わる日が来る。
近くにねこじゃらし的なものが見当たらなかった僕は、出前の寿司になぜか二膳付いていた割り箸のうち使わなかったほうを使って床でフリフリ~と適当に振ってみたところ、茶々丸は目の色を変えてズサァっ!と今までにない勢いで食いついてきたのだ。
特にすごいのは、タオルケットの中から割り箸の先端をランダムに出し入れする動作(小動物が顔出したり引っ込んだりみたいなイメージ)で、茶々丸はもう大狂乱して飛びつきまくる。
これを5分くらい付き合ってやれば、茶々丸は満足してくつろぎ始めるのだ。
まあ、1時間置きに要求されるのだが。
このあたりは「猫あるある」のひとつだ。
猫ハウス買って与えたら、本体ではなく梱包用の段ボールを気に入りました的な。
結果的に生涯の
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茶々丸は現在、割り箸狩りに満足したのかベッドで腹を見せてくつろいでいる。
そう、この腹。
触れば「ねこひじき十字固め」にて酷い目に合うと分かっているのに、何故か吸い込まれそうな耐え難い誘惑を発している。
くっ、強いストレスに晒されている現在、この誘惑には耐えられそうにもない。
こうして僕の右手は茶々丸のお腹に吸い込まれたのであった。
いてっ。
いててっ。
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