第24話 ギギギ

「……なんのつもりなのかな?」


うー……


「そりゃ、確認もせずに玄関を開けたのは悪かったけどさ。不可抗力ってもんだから、そこまで怒られても何ともならないと思うんだけど」


うー……


あかん。

埒があかないわ。


このBカップ簀巻き、何を語りかけてもこの調子なのである。

手足を縛っているにも関わらず彼女の口はまだ僕を狙っているようで、何とかして僕に近付こうとして身もだえしている。

まあ押し返すけど。


何か面倒臭いことになってきた。

この子はメンヘラどころか、ちょっと頭が弱い子なのかもしれない。


だからと言って、意地でも僕に噛みつきたがる心理プロセスは理解できないし、わざわざご要望通り噛ませてやろうとは思えないけど。


「どうすりゃいいんだ……」


頭を抱えたその時である。



ポーン



例のSNSの更新音が携帯より響いた。

Bカップ娘の対処に八方塞がりな僕は、とりあえずSNSのほうを確認することにした。


「……山田さんだな」



【緊急拡散】感染者に不用意に近づくな!


緊急故に箇条書きで!


・昏睡状態の感染者が目覚めたという報告がいくつかあり

・目覚めた感染者は、例外なく話が通じず、暴力的だとのこと

・重症含む、怪我の報告多数あり

・医療体制が乏しい現状での怪我は場合によっては生死に直結するので要注意!!


●追記

・目覚めた感染者の共通の外見的特徴は充血した目と血色悪い肌

・感染者に襲われ怪我した方は1時間以内に昏睡状態になるとの不確定情報

・管理中の感染者は万が一に備え拘束しておくことを推奨



……なんだコレ?

心当たりがあるような、無いような???


今度は僕がギギギと音が出そうな感じで首を動かし、Bカップ娘を見る番であった。

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