第20話 ヒロイン登場!?
「やっちまったな」
僕はソファに腰かけ、頭を抱えていた。
視線の先は、僕のベッドに横たわる若い女の子だ。
倒れてるこの子を見た時は気が動転して気付かなかったが、よく見たら僕はこの子を知っている。
今年4月あたりから304号室に住み始めたと思わる、推定年齢20歳前後、身長150cm、肩までの髪先を赤く染めてはいるが、顔立ちは幼くどちらかと言えば清楚そうなイメージの女の子である。
ちなみに、おっぱいは推定Bカップである。
時期的・年齢的から、おそらくは大学に入学とともに独り暮らしを始めたのではないかと推察していた。
彼女を認識した時、「カレー作りすぎて余っちゃったんです。良かったら食べてくれませんか?」的な展開の妄想をしたものである。
しかしながら現実は、ある日に同じタイミングで帰宅となり彼女の後ろを着いていく形でマンションの玄関に入ったところ、振り向いた彼女の顔に浮かんだ表情は不審者を見るソレであった。
いや気持ちはわかるけどね。
でも、せめて僕がイケメンだったらそこまでの対応はされまいのに。
……うん、やっぱりイケメンは死すべしだな!
そんなことより、このBカップ娘が僕の部屋の玄関先に倒れていた理由であるが。
直接的な原因は察しがつく。
って言うか間違いなく、僕が勢いよく開け放った扉にブチ当たり、転倒して気絶ってことだろう。
問題は、何故そこに立っていたかってことだな。
まあ状況的に、彼女も僕同様に感染者にならず無事であり、僕や茶々丸の生活音に気付いて304号室から出てきて、呼び鈴でも押そうかというときにドアアタックを喰らったってところで当たらずとも遠からずだろう。
何にせよ、「やっちまったな」ってところである。
結局、玄関先で倒れてる彼女を放置するわけにもいかず、かと言って怪我させておいて304号室に放り込んで無視というわけにもいかずで、迷った結果お持ち帰りすることにしたのだ。
救護義務ってヤツで、エロ展開目的ではないからね!
ほら、304号室にお帰り頂いたとして、容態急変とか気付かなかったらアレでしょ!
僕は誰にしたのか我ながら意味不明の言い訳を心の中で叫びながら、どうしたものかとため息をついた。
とにかく、彼女が目が覚めたら状況を釈明しないと。
貴重な若いおっぱ……ゲフンゲフン、無事な人なのだ。
不信感を持たれては、今後の協力関係に影響を及ぼすことであろう。
まずは土下座から……いや、最初が肝心である。
大人の威厳と余裕を醸し出しつつ「やあ、起きたのかい?」的に優しく語りかけるのがいいかも。
そして……何だったっけ? 非常時に男女が惹かれある現象。吊り橋効果だっけ?
「カレーじゃなくて、今は私が余ってるんです。良かったら食べてくれませんか?」とかなったりして!
でゅふっ。
……はっ!
状況の釈明ひとつとっても、妄想の世界へ行けてしまう。
独り身のおっさんとは悲しい生き物であるな。
何にせよ、次の行動方針はこの子が目を覚ましてからしか決めれないな。
今日状況を知った僕とは違い、きっとこの子のほうがこの辺りの詳しい状況を知ってるに違いないしな。
尚も妄想に引っ張られそうになる心を抑えつつ、今後について考える僕であった。
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