23歳、男性…就職浪人中(1)
はぁ
レジの画面に表示されている小さな時計の時刻を確認する。
0:10
ふぅ
1度目に出た息よりも大きく、わかりやすくため息をついてみる。
「明日どーしよっかなぁ」
退勤の時間まであと1時間と少し。
そこから自宅まで自転車で30分。
家に着いてからもなんだかんだで寝るのはきっと3時過ぎになるだろう。
そんなことを頭の隅で考えながらレジの画面を拭いていた。
「3番さんお会計でぇーーーっすぅ」
『ありがとうござぃまぁーす』
「ありがとーございまー…す」
ここは僕がといいっていいってのデュエットがだんだんと近づいてくる。
「俺もいつかは取引先の人と飲みに行って奢ったり奢ってもらったりするのかなぁ」
社会人になる
そんなに遠くないであろう未来の話だと半年前、いや、数ヶ月前までは思っていた。
思っていたというより、そうなると思い込んでいた。
大きくなれば、人は皆サラリーマンになる。
大人になれば、人は皆社会人になる。
大学生になれば、4年後は皆働いている。
就活をすれば、卒業後はどこかに就職している。
当たり前の話。
当たり前のはずだった話。
俺は大人になって、フリーターになった
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