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「宵タピよき~星空よきの星屑のタピ!そしてミルキーウェイなミルクティーのハーモニー…ポエマーの素質あるわあい」

「で、キメラはどうだったの?」

タピオカをもちもちと咀嚼しながら、信人はあいの出来損ないポエムにコメントもなしに素っ気なく聞いた。持ち帰ったタピオカは全部で5つ。リビングで家族全員がタピオカを堪能していた。

「ん?首ポトした」

そして、あいはそれ以上に素っ気ない返事。確かにキメラはあんの刃によって華麗に首を切り落とされた。内容は至って素っ気なくなどはない。

「あいとあんて、愛情深いんだか鬼畜なんだかわかんないよね」

信人は複雑な表情でケロリとタピオカを楽しむ二人に投げかける。あんはマジ心外革命なんですけど~と信人を睨み付ける。

「はあ~?ちょーやさみじゃね?これ以上苦しむの見たくないもん」

「そだよ、生物兵器には生物兵器しかわかんない苦しみがあんじゃん?」

「あーでもあの子は造り出した博士まっさきに殺しちゃったんだって、その点…」

あいとあんはダダダっとまもるに抱きつく。まもるはタピオカで頬がぱんぱんの為何も言えないが、パアアと顔を明るくする。

「「あいちもあんちもまもちだいすぴ~!」」

「もごもご」

「きったねんですけど(笑)」



信人はわかっていた。生き続ける苦しみは世界中の誰しもが持っている。だが、生まれた時から使命を持ち、望まない生物兵器の殺戮を一端に任された者の苦しみなど測り知れたものではない。

まもるが産み出した[人間製鉄所]である二人が、世界中の要人から畏怖の念を向けられ、科学者たちに恨まれ、たった二人で世界中を飛び回りキメラを殲滅しているのだ。

だからこそ、唯一心を持ってしまったあいとあんは優しくも残酷であるのだと。

そして、父親であり偉大なる科学者も…ただただ優しい男でしかなかった。


「こんな可愛い子たちに旅させなきゃなんないオレ残酷な天使すぎるわ…」

まもるはキツく二人を抱き締める。真面目なのかふざけてるのかわからないのはギャル男の宿命だろう。

「まもち、でも私ら、その為に産まれたの」

「世界を平和にするために」

「愛する家族のために」

「「私らがやらなきゃダメなの」」

飲み干したタピオカの容器を握りしめていたさらも、三人に抱きついた。

「みんな大好き…あいもあんも、立派だよ。えらい。大好き。まもちゃんも。信人だって。みんなみんなえらいよ。」


4人のグループハグを眺めながら、信人は最後の一粒をもちもちと噛み締めていた。すげぇ美味しかった…またこれ飲みたい…俺もタイに行きタイ…!と誰がツッコむワケでもなくダジャレを心の中で呟いていた。


「だから今度は信人も一緒に行こーー。次はロシアでお呼びなんですです」


ま、マジか。


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