第258話 饕餮(その3)

デルガの邪気が触手のように蠢く。


邪気が饕餮トウテツに伸びる。


饕餮トウテツの白い毛に絡まる。


神気を含んだ白い毛と黒い邪気は混ざり合いながら主導権を争っているようだ。


饕餮トウテツもデルガも必死に、先に相手の身体に到達しようと力を込める。


その時、リザルドの魔剣が饕横からトウテツの額を叩き斬る。


饕餮トウテツ「痛!」


饕餮トウテツの額が斬れた。


饕餮トウテツ「チッ、覚えてろいろ。」


饕餮トウテツの集中力が切れると、神気の白い毛と黒い邪気の触手の戦いは、黒い邪気の触手が優勢になっていった。


饕餮トウテツの神気が急激にしぼんでいく。


白い毛も短くなる。


邪気の触手が饕餮トウテツを覆う。


どんどん小さくなっていく饕餮トウテツ


デルガ「ん?なんだ。」


グレンシー「どうしました?デルガ公爵。」


デルガ「饕餮トウテツが消えた。」


グレンシー「え!」


驚くグレンシー。


リザルド「逃げられたな。」


グレンシー「そんな!邪気の触手からどうやって逃げたんだろう?」


デルガ「転移か。別のスキルか分からんが確かにいなくなった。」


リザルド「スパに調べて貰おう。」


リザルド(スパ、饕餮トウテツに逃げられたらしい。何処かに饕餮トウテツが見えないかな。)


スパ(そちらの周辺にはおりませんし、樹海帝国領土内のどこにも見えません。)


リザルド(そうか。有難う。)


グレンシー「今のスパの話は聞いていましたが、倒したと言うことは考えられませんか?」


デルガ「それはないだろう。邪気の触手で消滅させることは出来ないし、レベルアップもしていないぞ。」


グレンシー「確かにそうですね。レベルアップしてない。」


リザルド「しょうがない一度帰るか。」


グレンシー「そうですね。リリア、リガリア、リーネット帰るぞ。」


リリア、リガリア、リーネット「「「はい。承知しました。」」」


戦闘の邪魔にならないように退避して、戦いの行方を見守っていたリリアとリガリア、リーネットはグレンシーのもとに集まった。


グレンシー「リザルド元帥、デルガ公爵、私たちは南西地域に戻ります。」


デルガ「承知した。私とリザルド元帥はヒロト様に報告してから戻ろう。」

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