第232話 驩兜(その1)

樹海帝国城の食堂。


バイキング形式の夕食会は続く。


竜人ドラゴニュート達は獣人達とテーブルを囲んでいた。


ライオンの獣人ライゴー副将軍と妹のライカ。


象の獣人ガネーシャ国王。


ゴリラ獣人グンゴル副将軍。


リザードマンキングになったリガール副将軍とリガリア副将軍等が一緒だ。


ドニルカ「竜人ドラゴニュートのドルニカと申します。お見知り置きをお願い致します。」


グンゴル「おう!宜しく。まあまあ、先ずは一杯。」


グンゴルが日本酒を注ぐ。


ドニルカ「有難うございます。しかし、ここに居ると気後れします。このような席に居て良かったのか。おお!この酒は美味しいですね。」


ガネーシャ「いやいや、一族を代表する者であれば、問題有るまい、むしろ竜人ドラゴニュートを背負っているから、どうどうとすればよいのだ。」


ドニルカ「は、はぁ。」


グンゴル「旨いであろう。ここは酒も料理も旨いのだ。」


ドニルカ「本当に美味しいです。これではここの移住希望が増えすぎて困ります。」


ライゴー「来たい奴は来させれば良いのさ。」


ドニルカ「そうすると大自然の守りがおろそかになります。」


ライゴー「守りは軍に任せろ。交流が深まれば、いずれ貴方の領地も樹海帝国並みの酒と食事も出来るようになる。」


ドニルカ「ええ!このような美味しい食事が大自然でも出来るのですか?」


ライカ「いや、ここの食事は別格よ。樹海帝国最高の食事だわ。」


ドニルカ「そうですよね。まさか陛下と同じ食事が出来るとは、思ってもみませんでした。」


ガネーシャ「ははは、ここの食事からは落ちるが、充分旨い食事が領地でも出来るぞ。酒は金さえ出せば同じものが飲める。」


ドニルカ「本当ですか?しかし金となると・・・。」


リガール「な~に、稼げばいいだけよ。その翼は伊達じゃ有るまい。ハーピー種は荷物を飛んで運ぶだけで大儲けしてる。俺も翼が欲しかったよ。」


ドニルカ「おお!そのような仕事があるのですね。」

ガネーシャ「うむ。宰相のデレイズ殿に相談して見ると良かろう。」


ドラシルはリザルド、リガント、ヴァンス、パライドの飲んべえ達に捕まっていた。


古竜山脈国王の古竜エンシェントドラゴンのドライマも一緒だ。竜は飲んべえだからな。


ドライマ「まあまあ一杯。」


いきなり日本酒を勧めていた。


ドラシル「どれどれ。」


ドラシルはグイッと一気のみ。


ドラシル「おお!旨い!」


リザルド「肉も旨いぞ。」


リザルドは魔牛のサーロインステーキを勧める。


ドラシルはでっかいステーキを3口ぐらいで食べきった。


ドラシル「おお!なんじゃこの肉は!これも旨い。」


ドラシルは酒も食事も大満足そうだ。


パライド「ヴァンス伯爵どうされた。いつもの勢いが無いようですが?」


ヴァンス「うむ。南の我が国の近隣まで驩兜カントウの軍が侵入しているのよ。」


リザルド「なに!蹴散らしに行こうか。」


ドラシル「四罪は強敵ですぞ。」


リザルド「リガントも進化出来るのであろう。」

リガント「出来ます。リザードマン種で無くなることに戸惑いがありますが、亜神と戦うなら進化します。」


リザルド「うむ。既に亜神クラスに進化している、コボ2とビーを連れて行けばなんとでもなろう。オニバルだって一皮剥けたいはずだ。」


パライド「なるほど。」


リザルド「グレンシーも連れていって、将軍の戦力アップといきたいのう。確かミノタウロスが相手だから副将軍達もレベルアップと進化させれば樹海帝国は向かうところ敵無しだ。」


パライド「流石、元帥。」


そこにグレンシーが来た。


グレンシー「リザルド元帥、興味深い話をしていますね。」


リザルド「聞いていたか。ダークハイエルフだけのことはあるな。」


リザルド「良し、陛下にお願いして来よう。」


ドラシル「え!そんな大胆な事をお願いして、お気を悪くせんかの?」


ドライマ「大丈夫じゃろ。元帥の娘は皇后ハク様だ。」


ハク「聞いてたよ!」


ハクが俺も連れてリザルドのテーブル脇に転移した。


リザルド「おお!陛下。ヴァンスの国を助けに行きたいのだ。」


「ヴァンスを助けるのに否はないよ。」


リザルド「ならば!」


「ちょっと待って、結論を急がないで。三つ懸念事項がある。一つ、将軍と副将軍全員を出陣させると、領地内の治安維持に不安が出る。二つ、もうひとりの四罪である共工キョウコウの動向が気になる。

三つ、同クラスでも神殺しが出来るのか心配だ。」


リザルド「ふむ。」


「先ず、コボ2は残す。コボ2の眷属は樹海帝国中を巡回監視している。将軍不在では、緊急時の対応不安残る。二つ目、共工キョウコウは引き続きスパ1が監視し襲撃があれば俺と妻達で対応する。三つ目、最悪俺が殺しに行けるようにと戦力強化の為、スラオを同行させよう。」


リザルド「スラオ!それは心強い。」


ヴァンス「リザルド、有難う。」


リザルド「いいってことよ。俺とヴァンスの仲じゃないか。」


リザルドはヴァンスと肩を組んだ。


この飲んべえ仲間の絆は固いらしい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る