第99話 武道大会(その1)

武道大会を見に獣人族の首都に来た。


メンバーは、

俺、右手ハク、左手レイ、左目アイ、

身体にスラオ、腰にムラマサ。


リザ、サクラ、ヒナの3人は人化。

コボミ、スパは隠蔽。

そしてアリア。

アリアの上をライゾウが浮かぶ。

ライゾウは周りから見えない。


首都は急ピッチで復興が進んだようだ。

武道大会会場も完成し大変賑わっている。

大会のチケットは事前に密偵が購入済み。

もちろん樹海の王であることは内緒。

お忍びなのだ。


近くの食堂に入って、食事を終えて話をしている。

ヒナ「密偵にパンフレットも買って貰っていて良かったね。」

サクラ「会場激混みだったからね。」


リザ「皆さんは誰が優勝すると思いますか。」

アリア「うーん。疾風のライゴー!」

サクラ「獣人国王ライガンの息子でしょ?

強いのかな?」


アリア「剣速は獣人国で一番らしいよ。」

ヒナ「こっちに書いてる妹のライカも強いらしいよ。」


「あの馬鹿王の子供だからなぁ。」

サクラ「ライガンも強いのよ。

救国の英雄だよ。

昔、ゴブリンキングを倒して

獣人国を救ったのよ。」

「そうなんだ。筋肉馬鹿だね。」

皆「あははは。」



ヒナ「私はね。闇のクロニス!」

「念話で見た羊の獣人だろ。」


リザ「剣の技術は無さそうだけどね。」

ヒナ「闇の魔術と剣の融合で

『闇剣使い』とも言われてるらしいよ。

『闇のクロニス』って二つ名が、

格好いいでしょ。」


アリア「羊ってところがどうも強いイメージが沸かないよ。」

サクラ「獣人国は強さが全てだから、国王に献策出来る地位にいるってだけで相当強いよ。」


「どうもそいつが、魔王の密偵って気がするから、

実力は隠すんじゃないかな。」

サクラ「それもそうね。」


サクラ「強いのは剣聖アバンニでしょ。」

リザ「アバンニってヒロト様にぶっ飛ばされた男ですよね。」

サクラ「え!そうなの?」


「そうだったかな。ガラード城内でそんな奴がいた気もするね。」

サクラ「そうかぁ。強いんだけどね。

勇者が出るまでは魔王討伐の一番手だったんだけどね。

人類最強、無敗の剣聖って評判よ。」


リザ「強いですよ。私も盾で受け流しましたけど、剣速は速かった。」

サクラ「ふーん。」


リザ「この雷槍のラクトーはどうでしょう?」

アリア「強そうね。」

ヒナ「どうせ大会に出る人はみんな大した事無いよ。

ってヒロトは思ってるでしょ。」

「そんな事もないよ。

死なないために貪欲では無いと思うけど。

強い人はいるかもよ。」


それを聞いていた槍を持った男が近づいて来た。

ラクトー「おい、俺がラクトーだ。

随分知った振りしてるじゃないか。

綺麗な女を侍らせて何様のつもりだ。」


ラクトーは俺の胸ぐらを掴もうとした。

俺は掴む寸前、その手を右手で振り払う。

リザが素早く立ち上がると、

同時にラクトーの頬を拳でぶん殴った。

「主様に何をする死にたいのか!」


吹っ飛んで転がるラクトー。

首を振ってダメージを確かめる。

まだやれそうだと判断したのか、

素早く立ち上がった。

ラクトー「てめえ、何しやがる。

表に出ろ!」


ラクトーはそういうときびすを返し入口に向かう。

胸を張って堂々としているが隙だらけ。

俺はラクトーの後ろから、

ムラマサを抜刀し峰打ちで薙ぎ払う。

ラクトーは脇腹にムラマサの打撃を受け、

くの字になって吹っ飛ぶ。


「ね、こういう風に危機意識が欠如しているのさ。

生きるか死ぬか何だから背中みせちゃ駄目だよ。

馬鹿でしょう。」


ラクトーは白目になりのびていた。

それを見たヒナは、苦笑いだ。

ヒナ「そ、そうだね。」


多分数日は立てないだろう。

大会は欠場だな。


「俺じゃ無ければ斬られていたよ。」

不味いかな?

直ぐにずらかららないと。

「店を出ようか。」


テーブルに金貨を置いて店員に声をかける。

「ごちそうさま!お勘定置いて行きます。」

と言ってみんなでいそいそと店を出る。

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