第20話 冒険者アギト

村の手前で馬車を止める。


ライゾウを抱き抱えて。

「この子を村に入れても問題無いですか?」

アキート「大きさは問題無いと思いますが、脚が6本ある獣は初めて見ましたので、目立つと思います。」


「そうか、そうでしょうね。送還しておきます。ライゾウ、後で呼ぶかも知れないけど、一旦拠点に帰ってね。」

ライゾウ「しょうがないな。」

ライゾウを拠点に送還した。


俺は馬車の中で村人の服と皮の鎧に着替えた。

もちろん下着も交換。

着ていた服は異次元収納。


右手はハク、左手はレイ、スラオは革の鎧の中。


夕方、日が落ちる前に馬車が村に着いた。

村は木の柵に囲まれている。

家はほとんど木造平屋もくぞうひらや

田畑が家の周りにある。

入口近くのみ数件の家が密集している。


村の入口には若い門番の男二人が槍をもって立っている。

二人ともに革の鎧を着てガッシリっした体格。


アリア、レイク、アキートが門番に説明。


俺はアキートに手招きされて門番の前にいく。

「こんばんは、今説明されたヒロトです。」

門番A「モンバーだ。事情を聞いたので村に入っていいよ。」

俺は門番に挨拶して門の中に入った。


アキート「今日はもうおそいので宿に行こう。ヒロトさん一緒に来てください。」


アキート、アリア、レイクと宿屋に向かう。


馬車と馬は宿屋の馬小屋に預けて、宿屋の中に入る。


宿屋は村には珍しい木造二階建てで、一階は食堂兼酒場兼フロント、二階が客室になっていた。

酒場に客は何組かおり、酒を飲んでいる。


アキートにチェックインして貰う間、アリア、レイクと酒場の空いている席に座った。


四人がけの丸テーブル。


チェックインが終わったアキートが、部屋の鍵を持って来て空いている席に着いた。


一人一部屋にしたので各自部屋の鍵を受け取る。


アキート「食事にしましょう。今夜は私がご馳走します。」

「有り難う。ご馳走になります。」


アキートが四人分の料理とお酒を注文した。


食事をしながら歓談し、料理もなくなりかけていた時、扉が勢い良く開いて騒がしい男達四人が宿屋に入ってきた。


男「がははは、酒をだせ!」

既に酔っぱらってるようだ。


四人のうち一人がこちらのテーブルに近寄ってきた。

男「いい女がいるじゃないか。こっちで酌をしろ。」


アリアの腕を掴んで連れていこうとする。


はぁ~。テンプレの展開だよ~。


アリア「お断りします。」

アリアは毅然とした態度でキッパリ断り、手を振り払った。


男「なんだと!このあま。俺達が誰か分かっていて断ってるのか。」

男は威圧しだした。仲間の男達はニヤニヤ笑っている。


アリア「知りませんね。」

男「Cランクの冒険者のアギトだ!村長の依頼でわざわざ町からこんなクソ田舎にゴブリン退治に来てやったのに、このまま町に帰ってもいいんだぜ。」


あぁ~。最低の野郎だった。この冒険者は酷いな。

念話でライゾウを呼び、密かにテーブルの下に召喚した。


アリア「どうぞお帰りください。」

男「なに!」

男は右手を上げてリザを殴ろうとしたので、テーブル下よりライゾウが男の足に雷撃を無音で発射。

ライゾウはその後送還した。


気絶して倒れそうになった男を素早く席を立ち抱える。

そのまま男達の席に連れていき、

「酔っぱらってるみたいなので、寝かせた方がいいみたいですね。」

と言って、仲間の男に引き渡す。


男達は微妙な顔をしているが、訳がわからず不気味に思ったのか、無言で男を抱き抱え、宿屋を出ていった。


席に戻ると、

アリア「ヒロトさん、有り難うございます。」

アリアはキラキラした目で俺を見つめてお礼を言った。


「いえいえ、災難でしたね。」

俺は席に着いて残っていた酒をイッキのみして

「そろそろ寝ましょう。」

と言って立ち上がる。


アキート「そうですね。お開きにしましょう。」

アキートはカウンターに行き、会計を済ませた。


皆で二階に上がって各自の部屋に入った。


「あの冒険者は最低の男だったな。」

ハク「そうね。あんな女性の敵は殺しちゃえば良いのよ。」


「うへ、ハクさん、過激だね。あそこで手を出すと後々面倒になるよ。」

ハク「人間の世界は面倒臭いね。」

「まあね。」


左手のアイに眼を向ける。

「アイ、魔力探知で警戒してね。」

アイ(はい。)


隣のスパも見る。

「スパ、小蜘蛛で宿の周りとさっきの冒険者、村の外を警戒してね。」

スパ「承知しました。」


じゃあ寝ようか。

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