第8話 雷獣

俺は歩いている。

黒のパーカーにジーパンだけど。

左腰にゴブリンのショートソードを差してる。


眷属達は。

右手に次元白蛇のハクが巻き付き白蛇の手甲になっている。

左手は木霊こだまのレイが絡み付き、蔦の手甲になっている。

土蜘蛛のスパが蔦の手甲にくっついていて、蜘蛛のアクセント付き。

フライングアイのアイも今は左手に止まってる。同じくアクセント。

左肩にスライムのスラオ。


そして、左足元をフォレストリザードのリザが歩いている。


スパから念話がきた。

スパ(前方でゴブリンと何者かが戦ってます。)

俺は立ち止まると念話を飛ばす。

(分かった、アイ、ゴブリンに見つからないように鑑定して来て。)

アイ(はい。)

アイがふよふよと飛んでいく。


ゴブリンは6匹。

 ゴブリンリーダー (LV20)1匹

 ゴブリンメイジ  (LV20)1匹

 ゴブリン     (LV10)4匹


戦っているのは。


名前:ライゾウ

種族:雷獣らいじゅう(幻獣)

性別:♂

レベル:30

HP:10/300

MP:0/400

スキル:

 雷魔法(LV5)


雷獣?名前があるね。

HPがなくなりかけて、MPは全く無いな。

危なさそう。


(皆、助けるよ。)

皆(はーい。)


(アイ、ゴブリンメイジを優先でMP吸収だ。その後他のゴブリンもMP吸収して。)

アイ(はい。)


(ハクはゴブリンメイジを優先で倒して。)

ハク(了解!)

ハクは白蛇になって、滑るように進んだ。


(スパはゴブリンリーダーを頼んだ。)

スパ(承知しました。)

スパは土蜘蛛形態でカサカサ走る。


(レイは雷獣を回復して。)

(はい。)


(俺とリザとスラオはゴブリンの足止めだな。)

リザ、スラオ((はい。))


ショートソードを抜刀し、雷獣が戦っている現場に走る。


ゴブリンの魔法や斬撃ざんげきかわしてる雷獣のライゾウが見えた。


いたちに似ている。

黒褐色の身体。体長70cm程度。

尻尾が2本。

足は前足2本、後足4本の6本。

目は黒く丸い。耳は小さい。


息を乱して、あちこち負傷してる。

危なさそう。ゼイゼイしている。


HPが5に減っている。

緊急処置だ。

「テイム!」

雷獣らいじゅうをテイムしました。>


ライゾウは驚いた。

ステータスが倍になったからね。

HPも10に増えたはず。


レイがライゾウに回復魔法ヒールを何度もかけていく。

アイが吸収したMPを俺の眷属共有のスキルで、ライゾウとレイに振り分ける。


ゴブリン達が俺に襲いかかる。

リザが足に噛みつく。

先頭のゴブリンは転ぶ。


次のゴブリンが剣を降り下ろす。

俺は咄嗟とっさに躱すが体勢を崩す。

その後ろのゴブリンが剣を横薙ぎ。

躱しきれない。

スラオがガード。

(スラオ、大丈夫か!)

スラオ(大丈夫。)

物理耐性が上がったから防げたのか。


その時ライゾウの雷撃がゴブリン達を蹂躙した。

倒れていくゴブリン達。


レベルアップのメッセージが流れる。

<ヒロトがレベルアップしました。>

<スラオがレベルアップしました。>

<レイがレベルアップしました。>

<リザがレベルアップしました。>

<アイがレベルアップしました。>

<ハクがレベルアップしました。>

<スパがレベルアップしました。>

<ライゾウがレベルアップしました。>


その後に。

<スラオが進化可能になりました。>

<レイが進化可能になりました。>

<リザが進化可能になりました。>

<アイが進化可能になりました。>


進化!おお!


後ろでゴブリンメイジを倒したハクとゴブリンリーダーを倒したスパがこちらを見ていた。


ハク(大丈夫そうね。)

(危なかったよ。)

リザ(危ない、だったの?)

(そう。俺は人間だから、今防具もないし、切られたら死ぬかもね。)

リザ(切られた、死ぬ!)

リザ(・・・私、ヒロト様、盾、なる。)

(有難う。)


俺はライゾウを向いて念話を飛ばした。

(ライゾウ、俺はヒロト、宜しくね。)

ライゾウ(ライゾウだ。助けて貰った様だな。眷属・・・になったのか。素早くなって力も増した。)


ハク(凄く強いのにどうしたの?ゴブリン達なんて余裕でぶっ飛ばせるでしょ。)

ライゾウ(実はエルフから逃げてきたのだ。)


(エルフから?)

ライゾウは不満が溜まってたのか、会話に飢えていたのか一気に話始めた。

ライゾウ(エルフは酷い奴等さ。

精霊や幻獣を強制的に契約して使役する。

待遇は奴隷以下。食事も自由も全くない。

普段は真っ暗な精霊の腕輪に封印されている。

そして魔法が必要な時だけ呼ばれ、魔法を放つとまた封じ込められる。

敵を倒しても経験値はエルフが取得するので成長もしない。

最近契約していたエルフがゴブリンとの戦闘で死亡したんだよ。

通常は精霊の腕輪に封印されて、別のエルフに回収されるけど、戦闘中に偶然精霊の腕輪が壊れて解放されたのだ。

これ幸いと逃走したさ。

それで追っ手のエルフと精霊と戦いながら逃げていた。

途中で何度もゴブリンとも戦ってたらMPが切れて御覧の通りだ。)


(そうか~。苦労したんだな。)

ハク(眷属になっても、封印される事もないし、自由だよ。)

ライゾウ(そうみたいだな。仲間達の顔を見れば分かるぞ。活き活きしてる。)

うんうんと頷く仲間達。

自由ではないぞ、言う事は聞いてよ。

敢えて否定はしないけどね。

苦笑いを浮かべる俺です。


そしてレベルアップと進化。

ハク(私、久しぶりにレベルアップしたわ。眷属になって良かったぁ。)

スパ(私もです。)

ライゾウ(俺もだ!何百年ぶりだろう。精霊契約が解けて眷属になって良かったよ。レベルアップして、いつかエルフに捕まってる仲間達を解放するぞ。)

ハク(頑張れぇ。)


(俺のスキルのお陰だよ。眷属の経験値が2倍で全員に共有する。だから一人で今倒したゴブリン6匹分の経験値と、更にもう6匹倒した分の経験値が入る。)

ハク(すっご~い!お得だわ。レベルが上がりまくりね。)

ライゾウ(うむ。素晴らしいな。)


そして、進化は、次の話で・・・。

今日はここまで。

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