アルヴィラッツストーリー
らんこ
ルシフォン・アルファという者
ずっと優秀な兄の背を追いかけてきただけの俺。
両親だって親族だって皆が口を揃えて言う。
「お兄さん二人は優秀なのにね……」
聞き飽きた。
そんなこと俺が一番わかってる。
兄を追いかけても絶対に埋まらない実力の差。
そこそこ剣術が出来ても兄には適わないし、勉強なんてそもそも出来ない。
何をしても兄と比べられる。
見習い騎士として入学したのだって、兄がここの卒業生だったからで、別に真剣に騎士になりたいと思ってるわけじゃない。
だからかな、自分の目標をもって真剣に取り組んでる人を見ると素直にすごいと思う。
妬みとかそんな気持ちにはならない。
ただ、そんな人たちの中に自分なんかがいて良いのかなって考えちゃう時はあるけど……。
だからって俺も頑張ろうって思えるようになるかは別問題。
小さい頃から目指しているものがある人と俺とじゃ確実に差ができてるから。
頑張ってる人にこんなこと言えない。
同学年生はそういう俺のこと知ってるかもしれないけど、悩みなんてそんな大層なことじゃないし、相談するようなことじゃない。
ただ……今までと同じように兄の後を追いかけてっていうのはそろそろやめたいと思う。
こんな俺にも優しい兄たちだって、
「お前には俺とは違うお前の良さがあるんだから」
「俺たちと比べんなって言ってやれ」
っていつもそう言う。
だからその通りにしてみようかなって思うようになれたのはやっぱりここに通うようになって、いろんな人と出会ったおかげだと思ってる。
じゃなきゃ、俺は今でも兄たちの後を金魚のフンみたいについてまわってたかもしれない。
だからまず一歩。
将来とか目標とか、そんな大きいことはまだわかんないけど俺は俺にできることをやってみようと思う。
たとえ適わなくたって比べられたってもう慣れっこだから。
ただその背中を追いかけるんじゃなく、追いつけるように。
だから、もう少し、もう少しだけ待っててね兄さん。
胸を張って堂々と兄さん達の隣を歩けるように、俺頑張るから。
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