吸血鬼君と人狼ちゃん

ムネミツ

第1話 吸血鬼君と人狼ちゃん

 僕は吸血鬼、ハマー学園に通う高校生。

 太陽の光に弱いから晴れの日は傘を差して通学してる。

 

 「吸血鬼君、おはよ~♪」

 元気すぎる女の子が、僕にタックルして来た。

 衝撃で傘がはじけ飛び、日光がレーザーの様に僕を焼く!


 「熱い、助けて! 灰になるっ!」

 そして僕は灰になった。


 「あはは♪ ごめんね~♪」

 女の子が牙で指を切り、自分の血を灰に撒くと僕は蘇った。


 「やめてくれよ、人狼ちゃん! 僕が日光で灰になるの知ってるでしょ!」

 僕は彼女に怒る彼女の名は人狼ちゃん、僕の彼女だ。

 人狼ちゃんと相合傘で教室に向かう。


 僕らの周りではフランケン君やマミーちゃん、ゾンビちゃんや半魚人君もワイワイ

楽しく登校している日光が弱点でない人が羨ましい。

 僕が日光が苦手じゃなければ、人狼ちゃんともっと楽しく登校できるだろうか?


 僕は日光で灰になる、彼女は満月で巨大な狼の獣人になる。

 僕と彼女にはギャップがある。


 私は人狼、満月の夜には大きな狼の獣人になる。

 私の彼は吸血鬼君、冷たいように見えるけど優しい人。


 彼は昼間が苦手で夜は元気、私は昼間は元気だけど夜は苦手。

 月齢でテンションが変わる自分が嫌、満月はもうバーサーカー状態!


 全裸で外に飛び出して吠えて暴れるって、最悪だよ~!


 何か事件でも起こしちゃたら、私の人生おしまい!

 私と彼が出会ったのは、私が暴走した満月の夜。


 夜の彼はすごいパワー、空も飛べるし魔法とかも使えて私を止めてくれたヒーロー

だった。

 月が陰って元にもどった私を見た彼、鼻血を出して大変だった♪

 女の子の裸見たんだから責任とってよね、と強引に彼氏にして色々初めてしちゃいました♪

 

 私と彼にはギャップがある。


 僕が人狼ちゃんと出会ったのは満月の夜、昼間の太陽から解放されて体を動かしていたら暴れている彼女を見つけた。


 彼女に食べられても、彼女の血を吸いながら再生復活して何とか止めた。

 元に戻った彼女に襲われて、初めてを失いました。


 そのまま彼女の家に連れて行かれてご両親と対面。

 「あ~ら♪ 可愛い彼氏ね~♪」

 彼女のお母さんは嬉しそうだった。


 「もう! お母さんにはあげないからね!」

 プンプン怒る人狼ちゃん、一方で彼女のお父さんは僕達に何があったのか知っているのかのようにうんうんと頷いて

 「……君もか、一緒に頑張ろう」

 と言って、僕にとっておきの血を飲ませてくれた。


 僕と彼女はご両親の公認となった、あと何年かしたら僕は彼女の家にお婿に行く事になりそうだ。


 そして、付き合う事になったギャップのある僕達。


 互いの特性の違いからデートするのも一苦労なわけで。

 放課後の教室での一幕が良い例なわけで。


 「ねえ、吸血鬼君♪ 夏休みは~♪ 一緒に海に行かな~い♪」

 僕に甘く誘いをかけてくる人狼ちゃん。


 「……え? 僕、散骨されちゃうの!」

 彼女の誘いに乗ったら、僕は海岸の砂に交じって自然に帰るか海で灰になって散骨されるかの二択で自然に帰る羽目になるだろう。

 吸血鬼が転生できるかなんてわからない。

 「大丈夫だよ~♪私が血を撒けば復活するから~♪」

 彼女はあっけらかんとしている。

 「いや、海岸に血を撒くとかしたらホラーだから!」

 モンスターが言う台詞じゃないけれど。


 「ぶ~♪ 吸血鬼君はもっと昼間に体を動かそうよ~♪」

 とんでもない事を言う人狼ちゃん。

 

 「いやいや、無理だって。それなら僕の家の高原のお城に行こう?」

 海よりは日陰もあるし、故郷の土もある所へ逆に誘う。


 「え~? 私、山とか高原とか森とか飽きてる~!」

 彼女は狼、山とか自然は慣れっこだった。

 

 「いや、折角の二人が並び立つフィールドじゃないか!」

 吸血鬼は山や高原のあるところに居城を持ち、人狼も野山や森で生きる生き物。

 二人にとって、ギャップがない最高の場所じゃないか!


 「そうだけどさ~、お城へ行ったら吸血鬼君は引きこもっちゃうじゃん!」

 人狼ちゃんが痛い所を突いてくる、故郷の城なら誰にも邪魔されず引きこもれる。


 結局、この日は平行線で終わった。


 私の彼はインドア派、私はアウトドア派、私達は好みにもギャップがある。

 「私、お月見ってやった事ないんだよねえ」

 吸血鬼君と秋の話題を話す、何で秋は中秋の名月なんてあるんだろ?

 人狼にとってみれば、狼に変身しっぱなしだよ!


 「あ~、変身しちゃうからね」

 吸血鬼君は生返事だ、彼には月はなんでもないんだろう。

 月を見て楽しむなんて、雅な事するのはお貴族様だからかな?


 「秋と言ったら後はハロウィンだね♪」

 カボチャが美味しい、お菓子も美味しい、ハロウィンは楽しい♪


 「うん、それは同意できる♪」

 吸血鬼君も同意してくれる、共通って繋がってるって感じが良い♪


 ギャップがある僕達、私達、違いがあるからこそ共通の繋がりが愛しい。

 違いがあるから繋がれる、皆違ってそれでいい。


 そんなこんなで、互いの違いにワイワイ言いながら僕達、私達は同じ時間を過ごして行く。


 




 




 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

吸血鬼君と人狼ちゃん ムネミツ @yukinosita

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ