第36話 魔導忍者は気の鍛錬法を伝授する


女子たちの『魔造人間』の身体能力そして、『魔導外骨格』という新しい力の検証も一通り終わった


女子たちは、それぞれ割り当てられた部屋で休憩しており


雷蔵と26代目は応接の間で、お茶しながらマッタリしていた




「それにしても、みな凄かったな」


「特にクリスには、僕もちょっと引いちゃったよぉ」


「僕の最高傑作たちの性能のお陰と言いたいところだけどさぁ」


「やっぱり『合力』が、格段に性能を引き上げていたんだよねぇ」




『合力』とは、魔法を使うための力である『魔力』と、雷蔵が転生前に使っていた忍術を行使するための力である『気』


その2つ合一した力


『魔力』と『気』を超える大いなる力


その新しい力を、雷蔵が『合力(ゴウリョク)』と名付けたのだった


女子たちには初歩ではあるが『合力』の使い方を習得させておいた




時間は、『魔導外骨格』の性能試験が始まる前にさかのぼる


雷蔵はまず、二人で行う魔力の相互循環を試してみることにした




仙人の修行の中に、男女で気を巡らし、お互いの気を高める『房中術』という気の循環鍛錬法がある


『房中術』 くノ一が使うアダルトな技を連想しそうだが


真髄はそうではない


仙人が祖であると言われる、伊賀忍者の里には、仙人の修行法が数多く残されていた


その中に、『房中術』があり、二人ないし複数で、気を循環させ、お互いの気を高める方法が大変効率的であったため、この鍛錬法が用いられるようになった




『魔造人間』になると、身体能力もそうだが、魔力の扱い方に、人であったころと若干違いが出てくる


まずは、魔力の相互循環で『魔造人間』になってできた、人であった頃との魔力の扱い方の差異を埋める


それと合わせ、気も扱えるように鍛錬を加える




まずは、白玲から


お互い向かい合ってすわり、両手をつなぐ


自分の魔力を右手から送り相手からの魔力を左手から受け取る


魔力には人それぞれ波長が違い、お互いに循環させるにはそれを一致させる必要があった




相手の魔力と波長を合わせる


今まで経験したことの無い白玲には非常に難しいらしく、始めは数分しか継続できなかった


それでも、何度か続けていくうちに、途切れることなくお互いの魔力を循環できるようになっていた


イデア、ジスレア、クリスと同じ手順を踏んで、最後は全員で行ってみた


魔力を受け取る相手、送る相手が違うため、かなり難しいようだったが、これも最後には途切れることが無く循環できるようになった



そして、これは嬉しい誤算だったが、相互魔力循環をした後、全員の魔力の収束時間の短縮、収束密度の調整など魔力を扱う技術が、この短時間では考えられないほど高まった


女子たちは、短時間で魔力の相互循環は習得してしまった




続いて、気の鍛錬の指導に入っていくが、これはかなり難事だった


魔力は、みなある程度使えたので、鍛錬法の習得は早かったが、気については、まずその存在自体を知らなかったからだ




まずは、白玲と


魔力の相互循環の際と同じく、向かい合い、両手をつなぐ


まずは、循環させる前に、雷蔵が、彼女体内の『気』の元となる『精』を操って、第一のチャクラに集めて『気』にする


これには思いもしない効果があったらしく


「ライゾー 我は様子がおかしい!」


「体が熱いのだ!」


「ライゾーの子種を頂くぅ!」


と迫って(襲って?)来た


なので「鍛錬の途中だ」と、鉄拳を食らわせて我に返らせた


循環→迫って(襲って?)くる→鉄拳制裁→覚醒→(初めに戻る)


何度かこのサイクルを繰り返し、彼女は気の循環鍛錬法を覚えた


その間、他の3人は、魔力の相互循環をさせていたが、こちらが気になりすぎて上手くいっていないようだった




次はイデアと


「坊や、あたいこんなに感じたのは初めてだよ!」


「責任を取ってもらうからねぇ!」


と迫って(襲って?)来たので、拳骨を食らわせたが、それでも止まらなかったので、首トンで落とした


循環→迫って(襲って?)くる→首トン→覚醒させる→(最初に戻る)


このサイクルを何度か繰り返し、イデアも気の循環鍛錬法を覚えた




ジスレアは


なんだか顔を赤くして、もじもじしていたが、それ以上の反応はなく気の循環を習得した


偉いぞ、ジスレアさん




クレアは


「何だか体がポカポカしますねぇ」


と言ってはいたが、あっという間に気の循環を習得してしまった




木の鍛錬も予想外にうまくいったので、魔力と気の合一も伝授することにした


のだが・・・


「我の体が爆発する~!」


「あたいどうなっちまうんだよ~!」


「!・・・・」


「何だか体がぽかぽかしまねぇ」


初回は、クリス以外、気絶してしまった・・・


(調子に乗りすぎたか?)


あまりの副作用に、早計だったかと少し後悔する雷蔵




だが、彼女たち(クリス以外)は気絶から覚醒すると、「「「早く続きを!」」」とせがんでくる


何だか異様な気迫に押されて、鍛錬を続ける雷蔵


何度かの気絶を乗り越え、女子たちはついに『合力』を練り上げることに成功すした


その後、『合力』の相互循環の鍛錬も行うようになるのだったが、何故か女子全員、雷蔵と組みたがった




と言う訳で、『魔導外骨格』の性能試験の際、女子たちは、身体強化や魔法の発動に『合力』を使っていたのだ


クリスが最強伝説を打ち立てたのは、4人の中で一番『合力』の扱いに秀でていたためだった




最強伝説の裏には、このような秘密が隠されていたのだ



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