第17話密猟者2

「何やってんだお前らは」

 そうこうしている私のところにあろうことかあの時の密猟者のボスらしき男がきた。


 あ、そこ


バチバチ


「痛ぇ!何だこりゃ!」


 えぇまたあなた方が来た時のために大人用の罠を主人が張ってました。

_どうせ聞こえないだろうから教えます。

「どうせ犬なんて大したことできないんだから、、」


ガチャンッ


 その大したことできないヤツのとこまで辿り着けそうにないですね?

 そんなあなたは大したことない人?


 ミャウ私の後ろで何をしている?


 あらバレました?

 私の影からアフレコするのはやめてもらおうか。

「ミャゥ」

 そうですか?これ結構楽しいんですよ。


 お前もう猫辞めてるな。

「すごいミャウ。アフレコできるんだ?」

 いえまだ若輩者ですが。

 どうせ犬になれないなら人間にでもなってやろうかと。


 恐らくクミはそのことについては何も言ってないぞ?


 心配しないで下さい先輩!

 たとえどんな姿になっても先輩のことは愛してますから!

「何だこの猫は!」


 追い払おうとしたボスの腕をミャウはヒラリとかわし、


 何ですか!私は今先輩に大事な話をしてるんです!邪魔しないで下さい!


「おぃこの猫がお前ぇらのやられたヤツか?」

「違います!そん時はそっちの犬だけでした」


 ッたく連携取られたんならまだしも一匹に二人がかりで何やってんだ?

「こういうのは「バンッ」すればすぐ済むだろうが」

 ボス当たってませんよ?


 言いながらよそ見して銃を撃つという不意打ちは、恐らく簡単に当たったはずなのだ。

 しかしその弾は私の右前足があったところに着弾していた。

 そこに来るのがわかった私は右前足だけを上げて地面に着弾させていた。


 残念だったな。

 私は密猟者に備えて主人から訓練を受けている。

_いいかいソロ?銃というのはね?どんなものでも大体まっすぐ飛ぶんだ。


_スナイパーライフルの場合は少し風に煽られたりするけど、着弾点はほぼ腕前で誤魔化せる。


 そう。だからタイミングさえ見誤らなければ当たることはない。

 山奥で暮らすために私は主人と、、あ、ダメだ。


 訓練と言いたかったがあれは遊んでいるだけだった。


「ソロいくよ!」

 主人の指鉄砲の方向をよく見ながら追いつかれないように走り、、


「バンッ」


 それに合わせてジャンプ!

「うまい今のタイミングだ」

 でも音がしてからジャンプしたのでは間に合わないからうまく今のを利用してね?


 先輩何ニヤけてるんですか?

 あの男がこっちに来ますよ?


 ハッ大丈夫だ。

 その辺にはたしか、、


ピンッ


カタカタカタッ


「ソロ!避けて!」



 足元の仕掛けに引っかかったボスはキレイに滑って私達を通り過ぎていった。

 それを追いかけるクミの飛び蹴り。

 随分アクロバティックな罠を仕掛けているなクミ?

「違うの私が引っかかったヤツにあの人巻き込まれたの!」


 何だってお前が罠に引っかかる!

「クミちゃん!」

 主人?マジか?


「ミャゥ」

 お前もか?


 違いますよ失礼な。

 私は二人を助けようとしたんです。


 それで引っかかっては意味がないだろ?


ゾクッ


 何ですか今の!

 もう一回言って下さい!


 知らん!


 あぁ何でしょうこの得も言われぬ快感は。


 どうやら目覚めたようだな。

_しかも空中で。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る