第12話A-3これから

 さぁそれでも雑誌に載ってた以上は少し警戒しないといけない。


 だが、

「あぁここにもいられないな」

「ごめん私、、」

「いいよ。クミは悪くない」


 クミのやわらかくウェーブした髪を頭の先から肩まで撫で下ろす主人。

_それ私もして。


 いかんいかん。

 クミの金色と亜麻色の交じる独特の色の髪が主人が撫でるのに合わせて輝いていた。


 少しだが、妬いてしまった。


「その雑誌今は持ってる?」

「うん。これ」

 月刊誌だった。


 基本的に漫画の載る雑誌だが、主人の小説はアニメの他にコミカライズもされている。

 あまりの人気に漫画誌にまで取り上げられるようになってしまった。

 クミが取り出したのは少年誌だった。


 嗅ぎ付けられるのも時間の問題だ。

 主人と繋がりがあったとはいえクミがたどり着けている。


 他にも来る可能性は考えられた。

 一応、テレビがなくとも情報源はあった。

 仕事用のパソコン、クミと繋げていたスマホだ。


 そこで主人は世の中の動きを掴み、作品に活かしていた。

_どうやって山の中からやったかは知らない。


「私を忘れてない?」

 クミ?

 なぜお前が出てくる。


「街とここを行き来してんじゃん」

 !

 そうか。

 それで街の情報を。

 じゃなくて、ネットワークだよ!


「私がやられそうになってたじゃん?あの時に私のスマホがエリィのと繋がったんだけど、私のスマホからエリィのスマホの状態見れるようになったんだ」


 ほら、

 見せてくれたが何がどうなっているかはわからない。

「前から街にリンクフリーしてたみたいだよ?」

 リンクフリー?

「変なとこだけ犬らしくするな!」

 いや、怒られても私は犬だし。

「いい加減にしないとモフるぞ!」

 望むところだ。

_さぁかかってこい!


「やるワケないじゃん」

 リンクフリーとは他のスマホなどを媒介に離れた場所に移動することができる。

 ってえ!?


「どしたの?」

 それ一大事じゃないの!?

「最近は普通だよ?最初はスゲーって思ったけど」


 あ、あぁできるようになるとそうでもなくなるのか。

_流行って怖いな。

 ともかくそれをクミのスマホにしているため、ちょくちょくここへクミは来れるらしい。

 たまに主人がいなくなっていたのはそのせいか。

 あれは場所がわかるだけのものではなかったようだ。

 それにしても主人はそんな世界で戦っているのか。


 いや、ジャンルは違うんだろうけど一時の流行に絆されて、廃れていくものもある中主人は生き残ってきたんだ。


 改めて私は主人を尊敬した。

 別にナメていたワケではない。

 毎日舐めてはいたが。

 撫でられた分だけ舐め返していた。

 時々やめられなくなって叱られるけど。

 ある意味それも嬉しかった。



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