第10話!?A-1:ノーマルルート

「ああいうことはしたらダメだよ?」


「だって」

 主人はクミを叱りつけていた。


 私を助けるなら他の手を考えるべきだったと。


 私も何か弁明を考えてはみたが、うまく言葉は見つからなかった。

 聞こえる聞こえないの問題じゃない。


 考えなしに出歩いた私も悪いのだ。

 この辺りには密猟者がいると聞いていたのにだ。

 主に犬以外の毛皮を狙うものが多いが、稀にその流れ弾に当たって亡くなる犬もいると聞いていた。


 特に山の中は無法地帯で結構危ないらしい。


 では尚のことなぜクミはここへ来れた?


 益々怪しいではないか。


 取材班は仕事だし、このことを知っている可能性はあるが一般人のクミは?

_やはり黒幕が?


 母親か?

 先にも言った通り、エデューソン家はなかなかの血統書付きだ。

 クミのような一般人にはまずお目にかかれない。

 母親の知り合いでもない限りは。

 しかし、それならこの縁はなかったことにしなければならず、主人ほどの人ならばそろそろそれもわかっているはずだ。


「わかったよ」

 主人は覚悟を決めたように息を吐くと、

「別れよう。ボクはソロと仲良くできない人とは一緒になれない」

 主人!何もそこまで!たしかにクミは時々おかしいこともするし、状況を考えない時だってあった。

 でもだからって、、!

 クミの気持ちを聞いただろ!

「いいんだよソロ。私が悪いんだ」

 潤んだ声で、

「出ていくね」

 クミは、

「あの女に伝えてくれ。もうこんな手は使うなって」

 その背中に主人の言葉が刺さり、

 !

「違う!きっかけはそうだけど、エルリックのことが好きなのは自分の気持ちだよ!」

 私、私、、あなたがいれば何もいらないの!


 主人、これは許してやるべきではないのか?

 今回は私にも悪いところがあったんだ。


 あぁ撫でて誤魔化すのはやめてくれ。

 私はクミが大好きだ。

 主人はクミをどう思ってるんだ?

「ボクも大事に思ってるよ」


 うぅ


「私もすき」


 クミがそう言うと主人はそっとクミの体を抱き寄せふと震えるクミに音もなく唇を重ねた。


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