第3話動物的?A
動物的なのかもしれないなこのメスは。
いや、主人が情けないのか?
「違うよ?私はエリィが好きなだけ。
エリィに対してだけこうなんだ」
本当は若いはずなのに時々老けた顔をするなこのメスは。
「私ね?エリィしかダメなんだ。わかるでしょ?ソロなら」
あぁわかりはするが、私にも義理はあるし。
「私ね?もしかしたら違うのかもって考えたこともあるんだよ?」
まぁ一人目で見つかるということは少ないだろうしな。
「ひょっとしたらもっといい人がいるのかなって、色んな人に声かけちゃった」
それがいけなかったんじゃないのか?
「でも、他の男の人は違った。
すぐそういう目で見てくるし、
まともに話もできないの」
申し訳ないが、そういう目で見るぞその体は。
「それに何より、楽しくなかった。
一緒にいたいって思えなかったんだ。
だから私はエリィのところに戻ってきた」
なぜ人はこういう時、空を見上げるんだろう。
そこに何があるワケでもないのに。
そしてなぜこの女は本人の前でこんなことが言えるのだろう。
やっと復活して帰ってきた主人はそれが聞こえてしまったのか、もう一度沈んだ。
赤やら青やら忙しい表情は目まぐるしく変わって、最後はうす紅色に落ちついた。
流石小説家、頭の回転が早い。
聞いた瞬間始まったルーレットは赤い顔で今沈んだ。
いたってわかりやすい反応だが、言わなくてもわかるんじゃないのかこれだと。
「そこはちゃんと言ってほしい」
無理だぞ?
「知ってる。でも言ってほしい」
随分無茶を言うな。
がんばれ主人。
私もできることはさせてもらう。
「わん」
「こっちに来いって?無理だよソロ」
まんまヘタレだけど、あれでいいのか?
「うぅん。アレがいいの。嬉しいじゃん私のためにあんなになってくれて」
まぁものは考えようか。
男としてはどうかと思うがそれは私が犬だからの価値観なのかもしれないな。
連れてこようか?
「お願いできる?」
タッタと二、三走り勢いあまって飛び蹴りしそうになりながら、主人の前で立ち止まり襟首を咥えて引っ張る。
「わ、ちょっとやめてよ!」
耳打ちで吠えてみる。
すると彼女の方がクスクス笑って、
「ごめん。私がソロにお願いしたの。
連れてきてって」
可愛いね?などと言って頭を撫でられた主人は見る間に落ち着いていった。
_どっちが女なんだ?
時々わからなくなる。
勿論性別のみの話だが。
顔、は、主人はどっちかわからないぞ?
彼女は女の子らしい顔をしているので、まだわかる。
声もハスキー?そんなワイルドな声でもないはずだが、人間はこういう掠れた声をハスキーボイスというらしい。
_あんな犬と一緒にされてもな。
え?元になった言葉は違う?
じゃあもうわからない。
とにかく今夜は三人で眠ろう。
パチンッ
その時、暖炉の方で火が爆ぜた。
ねーむれ、ねーむれ、、ね、、
おいコラ途中で寝るな!
歌の途中でクミの撫でていた手が止まりすやすやと寝息を立てていた。
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