第1話 「俺だけが届かない訳じゃない!」
俺の趣味は勉強だ。
本当だよ?
嘘じゃない。
勉強すると賢くなれるし、将来にも役立つでしょ?
俺よりいい趣味のヤツなんていないだろ、まじで。
というわけで、今日も勉強に励んでいる俺であったのだが、ある女子に目を奪われた。
「こんにちは、国近くん」
俺はその言葉では言い表せないこの上ない美声でその名を呼ばれ、昇天するかのような心地を覚えた。
「やあ、こんにちは」
すかさずその女子に対し、爽やかに返事を返す俺。
我ながら、なかなか決まったんじゃないかと思う。
だが俺には一つ、困ったことがあった。
「えっと、君の名前は...?」
そう、何を隠そう彼女を見たのは今日が初めてで、名前はもちろん、どこのクラスの生徒かもわからない。
「あ、すみません...昼田依沙実と申します」
「昼田さんって言うんですね、これからよろしく」
これから関わりがあるかどうかはさて置き、よろしくと挨拶をするのが礼儀ってもんだよな。
にしてもこの昼田さん、本当にかわいらしい。
どれくらいかわいらしいかというと、水族館でぺたぺた歩いてるペンギンの子どもぐらいだろうか。
「よ、よろしく。国近...未来くん」
これはおどろいたぞ。
昼田さん、俺のフルネームを知っているのか。
どうしてガリガリ勉強オタクの俺のことをそこまで知っているんだ?
不思議ではあるが、悪い気はしない。
「私、これから勉強しようと思ってて、良かったら教えてくれないかな...?」
はい来たこれ。
これあれでしょ?
このまま一緒に勉強してなんかいい感じになって、そのまま連絡先交換...みたいな。
このビッグラブコメチャンスを逃すわけにはいかないだろぉ!
「もちろんだよ。なんでも聞いてくれて大丈夫だからね」
こうして、俺は昼田さんと2人きりで勉強をすることになった。
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