いつかまた会う、その日まで

勝利だギューちゃん

第1話

人間、どうなるかわからない。

元気な人も、事故で突然亡くなる場合もある。


なので、悔いのないように生きたいと思うが、

ながなか難しい。

言うだけなら、簡単なのだ。


朝、学校へ向かう途中に、信号がある。

ここは、交通量がとても多く、一度赤になると5分は待たされる。

なので、上手く時間を見計らないといけないが、ひっかかってしまった。


ふと隣を見る。

杖をついている男の人がいた。

サングラスをかけている。


(眼の不自由な方か・・・事故に会わなければいいが・・・)


そう思った瞬間、どこからかスマホの着信音がした。

どうやら、隣の男の人の隣からだ。

女子高生のようだが・・・


信号はまだ赤。

でも、眼の不自由な男の人は歩きだした。

どうやら、歩行者信号で青になったと、勘違いしたようだ。


「すいません。まだ赤です」

俺は、その男の人をいきなりだが、手首を掴んでしまった。


その瞬間・・・


俺の体は宙に浮き。道路に叩きつけられた。

遠のく意識の中で、サイレンが聞える・・・


(そっか・・・俺は、死んだのか・・・あっけないな・・・

残念だ・・・)


「・・・きなさい・・・」

誰だ?

「起きなさい」

眼を開ける。


「あっ、気がついた?」

「君は?」

そこには、知らない女の子がいた。


「私は、天使。天使のゼル。よろしくね」

「天使と言う事は、俺はやはり・・・」

「うん。残念だけど、死んだわ」

「そっか・・・残念だ・・・」

「ショックは、ないの?」

「ああ。でも、気になる事がある」

「何?」

「あの男の人は、どうなった?」

ゼルは、キョトンとしていたが、すぐに応えてくれた。


「大丈夫。助かったよ。少しだけ、怪我をしたけどね」

「そっか・・・よかった・・・」

「ちなみに、君を間接的に死に追いやった、あの女子高生だけど・・・」

「ああ」

「捕まったよ。」

そうなのか・・・まあ、その女はどうでもいい。


「で、何か望みはある?」

「俺の死体は、まだ火葬されてないな」

「生き返りたいの?」

「違う。俺の眼を、あの男の人に提供してやってくれ」

「それでいいの?偽善者だね」

確かに自己満足かもしれない。


「その通り、俺は偽善者だ。」

「認めるんだね」

「ああ」

ゼルは、続けた。


「そんな悪人を、まだ天国へはやれないわ」

「そっか、地獄か・・・残念だ・・・」

「そうじゃないわ」

「えっ?」

「まだ、君はここへ来ては行けない。もっと下界で、修行しなさい」

そういうと、いきなり辺りが暗くなった。


数ヵ月後、俺は学校へ復帰した。

あの事故で、奇跡的に助かった俺は、しばらくのリハビリの後、

ようやく学校へ、戻れた。


ただ、留年は覚悟しないといけないが・・・


「久しぶりだね」

「ゼルか・・・」

「どう、体の具合は?」

「何とか元気だよ。それよりどうした?」

「ご機嫌伺い」

「暇なんだね」

「うん。悪人が多くてね。みんな地獄行きだから、することがなくてね」

ゼルは、答える。


「地獄へ導くのは死神、天国へ導くのは天使。

今は、天国へ行ける人は、少ないんだ」

「だれでも、悪人だよ」

「確かにね。でも、それにはラインがあるんだ」

「ラインとは?」

ゼルは、笑みを浮かべる。

そして、答えた。


「それは、君が本当に死んだ時にわかるわよ」



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いつかまた会う、その日まで 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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