アンダーブルー・クロスロード ~結晶の少女と楽園の後継者~
深月 慧
アトランティス伝説
神官はこう語った。
「ソロンよ、あなたたちギリシア人は、ほんの幼児です。ギリシアには老人――すなわち、賢者に相当する者――がおりません。精神においてみな若いのです。あなたたちは、古い思想が伝統によって伝えられているわけでもなく、また、時を経て白髪を備えた学問も、持ち合わせていません。その理由を申し上げましょう。
――人間は現在に至るまで、幾度となく破滅しているのです。また、これからも破滅するでしょう」
時は古代の政治家ソロンより九千年の昔。 ヘラクレスの柱の向こうにアトランティスという島があった。 海神ポセイドンの五組の男子が王となって支配し、 王の中の王であるアトラスの名をとってアトランティスと呼ばれた。
その国は農産物や、金属などの地下資源に富み、港は世界各地からの船でにぎわい、繁栄を極めた。アトランティスの首都ポセイドニアには、外側を銀、 天井には黄金、まわりには多くの黄金像の並ぶ豪華な神殿が立ち、町の周囲には同心円状の運河が張り巡らされており、内陸から海に出ることも容易であった。また、強大な軍事力を持ち、アフリカ・ヨーロッパの一部も支配下においていた。
――しかし、その栄華は一昼夜の間に海中深くに没し、姿を消した。
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